糖尿病治療を変える「CGM」...血糖値を見える化、個々人にあった適切な治療を支援

   糖尿病の有病率は19.4%とされる。10人いれば2人いる割合だ。それほど多くの人がかかる病気だが、血糖のコントロールなど管理は簡単ではない。

   日本糖尿病学会は2025年、第5次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」を発表した。なかでも重点項目とされたのが、「個別化医療やデジタル技術の活用」である。それはどんな方法なのか。

   「世界糖尿病デー」の前日の2025年11月13日に行われた記者発表会「CGM×食事で挑む、一人ひとりの糖尿病ケア」(主催:アボットジャパン)で、その方法が示された。講演された話をもとに紹介しよう。

  • 石田千香子さん(下北沢病院栄養科科長)、俳優・藤岡 弘、さん、綿田裕孝さん(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授)
    石田千香子さん(下北沢病院栄養科科長)、俳優・藤岡 弘、さん、綿田裕孝さん(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授)
  • 綿田裕孝さん(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授)
    綿田裕孝さん(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授)
  • 石田千香子さん(下北沢病院栄養科科長)
    石田千香子さん(下北沢病院栄養科科長)
  • 俳優・藤岡 弘、さん
    俳優・藤岡 弘、さん
  • 石田千香子さん(下北沢病院栄養科科長)、俳優・藤岡 弘、さん、綿田裕孝さん(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授)
  • 綿田裕孝さん(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授)
  • 石田千香子さん(下北沢病院栄養科科長)
  • 俳優・藤岡 弘、さん

「なぜ血糖値が上がったのか」を探りやすくなる

   糖尿病の専門医である綿田裕孝医師(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授)によると、治療を行う上で重要なのは「血糖のコントロール」だと言う。その指標となるのが、過去1~2か月の血糖値を表すヘモグロビンA1cである。綿田医師はこう語る。

「これまでの糖尿病治療は、たとえば『ヘモグロビンA1cが、7.7%だから薬剤を強化しましょう』というものでした。しかし理論的にどういう薬剤を強化することがいいのか、という点がわかっていなかったのです。しかし24時間血糖値を『見える化』できるCGM(Continuous Glucose Monitoring=持続グルコース測定)の登場によって、より細かい治療方針が立てられるようになりました」

   CGMとは、コインほどの大きさの小型センサーを上腕後ろの部位に常時装着することで、皮下の間質液中のグルコース値を測定できるというものだ。従来、血糖値を測る場合、指先に針を刺して採血する方法がとられていたが、その都度痛い思いをしなければならないし、その時点の値しか把握できなかった。

   CGMを使うことによって生じた患者さんの変化について、綿田医師はこう話す。

「血糖値が上がった場合、なぜ上がったのかと考える。振り返って『あれを食べたからだ』ということがわかる。じゃあ、今度はあの食事は控えよう、という行動変容につながることが期待されます」

   医師にも変化があった。綿田医師が続ける。

「食べたものによって血糖値が上がらないけれど、朝方だけ血糖値が高い、あるいはずっと血糖値が高いというように、患者さんそれぞれの特徴がみえてきます。そうした個々の患者さんのトレンドを知ることによって有効な薬剤の選択ができるようになりますし、生活習慣の指導内容も変わってきます。個々の患者さんに適切な治療ができるようになるのです」

   綿田医師らの研究では、CGMのデータを加えて診療していく中で、予期せぬ低血糖が起きていることがわかってきた。しかも低血糖は、高齢者に多く起きており、インスリン治療中に発生頻度が高く、さらに腎機能が低い患者さんに高頻度に起きる傾向が見られたという。低血糖にいち早く気づけば、迅速に対応できるのもCGMのよいところだ。

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