神戸市の独自SDGs施策...持続可能な都市づくり「森の未来都市 神戸」、資源循環モデル「こうべ再生リンプロジェクト」の現在地

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   持続可能な地域循環型社会の実現を目指して、都市部と豊かな里山・農村を共存させていく「神戸モデル」の取り組みを推進する、兵庫県神戸市――。

   神戸市独自のSDGs関連施策の状況を伝える発表会「『SDGsに立脚した資源循環』~里山と都市がつながる神戸モデル~」が2025年10月28日に都内で行われた。

   森林研究の第一人者でもある、神戸市副市長・黒田慶子氏らが登壇し、持続可能な都市づくり「森の未来都市 神戸」の取り組みや、下水汚泥からリンを回収・再生利用する「こうべ再生リンプロジェクト」などのSDGs関連施策について紹介した。

  • 神戸市副市長・黒田慶子氏
    神戸市副市長・黒田慶子氏
  • 神戸市建設局下水道部計画課・清水武俊氏
    神戸市建設局下水道部計画課・清水武俊氏
  • 神戸市副市長・黒田慶子氏
  • 神戸市建設局下水道部計画課・清水武俊氏

「森林・里山の再生と資源利用」と「まちの緑化」を

   神戸市では2025年度から「森の未来都市 神戸」の取り組みをスタートし、自然と共生する持続可能な都市づくりを目指している。

   神戸市内の森林の約9割を占める広葉樹林(里山)は、かつて薪炭や肥料用の農用林(私有林)として利用されてきた。だが、1950年代以降は放置され、大木化や繁茂しすぎた「暗い森」となってしまった。それにより、若木が育たず、災害リスクが上昇する課題があるという。

   発表会で黒田氏は、森林が持つ資源供給機能による現金収入がなければ、防災や生物多様性の維持も困難だとし、「再生可能な資源を持続的に利用」することによる「資源循環」が必要だと訴えた。

   こうした課題を解決するために立ち上げたのが「森の未来都市 神戸」。市域の約4割を占める六甲山・里山地域の再生と、市街地~農村部の一体的な発展を目指す取り組みだ。「森林・里山の再生と資源利用」と「まちの緑化」の2つを柱として掲げている。

   取り組みを通じた目標は、海外の企業や商社に流れていた「お金の流れ」を地域内に戻す、サーキュラーエコノミー(資源循環型経済)の実現。里山の資源循環の知恵(ゾーニングして資源利用と再生)を参考に、輸入依存から自国資源に目を向け、持続可能で安心な生活スタイルに変えていく、SDGsに立脚した資源循環型の社会と経済の実現を目指していきたい考えだ。

   もっとも、里山管理を持続させるには、資源利用をビジネスとして確立することが重要だ。そこで神戸市は、「資源の価値把握」と「流通」に関してサポートしている。

   たとえば、「『KOBE WOOD』の推進」では、資源の質と量を伐採前にデジタルデータ化する「MORI TAGシステム」を活用。それにより、立木の調査データに基づき購入企業を探すなど、新たな流通システムを構築。そうすることで、所有者の収入を確保し、森林再生へつなげる。

   ほかに、「KOBE 備長炭生産への挑戦」では、付加価値の高い備長炭の生産を推進。神戸ビーフなどと組み合わせた地産地消を目指し、試験生産を経て、今後は炭窯設置と産業化を進める計画だという。

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