他業種での経験をエンジニアとして生かせる可能性
では、今後、評価されるエンジニアの条件とはどういうイメージだろう。伊東氏は次の3点を挙げた。
1、AIが動きやすい環境を作れるエンジニア。たとえば「タスク分割」。複雑な作業を適切な大きさに分けて、AIの精度を高めるスキルを備えたエンジニアである。
2、「何を作るか」と「なぜ作るか」を常に意識して、実際に使われるプロダクトを完成させるエンジニア。
3、「掛け算」で希少性を作れるエンジニア。たとえば「業務知識×AI」だ。金融、医療、製造、物流といった業界の業務がわかるエンジニアは、AI導入の即戦力になれる可能性がある。また「ビジネス×AI」では、営業、マーケティング、採用といった経験者がAI活用推進の中心人材になりうる。さらに「教育・伝達×AI」という掛け合わせでは、技術を「教えられる」「広められる」スキルのある人が社内研修や組織展開の場面で貴重な人材となる。
なかでも教育人材の必要性は、データ上でも明らかになっている。伊東氏によれば、生成AIを導入する日本企業の割合は、34.5%に止まっているという。これは2026年に公開された帝国データバンクが1万社を対象にしたアンケート結果だが、注目すべきは大企業は46.5%が導入しているのに、中小企業は32%、小規模企業は26%と大きな差があることだ。これは世界的にみてもかなり少ない数字だという。
「さらに興味深いのは、導入企業が課題としているのが、AIを使いこなせる社員とそうでない社員の間で業務成果の格差が広がっていることです」
一口にエンジニアといっても、他業種からの人材も含めてかなり広い人材、能力が必要とされているのだ。