2020年 10月 26日 (月)

子どもが苦しんでいるとき 心を通わせる対話ができれば、それでよい

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■『おやときどきこども』(著・鳥羽和久 ナナロク社)
■『大人になることのむずかしさ』(著・河合隼雄 岩波現代文庫)

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   本書「おやときどきこども」の帯には、「学びの現場で子どもたちを向き合い、対話と思考を重ねてきた著者が描く もう一度、大人が子どもと出会い直すための本」とある。著者は、「大学院在学中の2002年に福岡市のランドマークである大濠公園の近くに学習塾を開き、それ以来たくさんの子どもたちと勉強をしてきました。2010年からは教室内に単位制高校のシステムを導入し、高校を中退した元塾生たちを対象に大学進学のサポートも行うようになりました」という。

子どもと自分との関係性を理解する

   最近出た「2020年版 都道府県幸福度ランキング」(寺島実郎監修 一般財団法人日本総合研究所編 東洋経済新報社)には、政令市の幸福度ランキングも掲載されていて、20の政令市の中で、福岡市は「教育」では6位で、割と上位に位置する。採用された指標にある、不登校児童生徒率が最も低いことや大学進学率が高いことが影響している。

   しかし、昨年12月のこのコラムで紹介したベストセラー『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(2019年 新潮社)の著者、福岡市出身(1965年6月生まれ)のブレディみかこ氏が、進学した福岡の名門修猷館高校で、「親が定期代を払えないので学校帰りにバイトしている」という10代の彼女が高校教師に「遊ぶ金欲しさでやってるくせに嘘をつくな、いまどきの日本にそんな家庭はない」と断言されたことを苦々しく回想していたように、今の福岡市の子どもたちにも様々な状況があることは容易に想像される。

   著者はいう。「子どもたちを見てみたら、一人ひとりの素晴らしさに気づいた。私はそんなわかったような話をしたいわけではありません。そうではなくて、意味なく当たり前のように転がっている無数の『自分独特の生き方』を目前としたときに、心の底から湧き上がってくる感動について話がしたいのです。そんな思いで、私はいまこの本を書いています」。

   本書を読めば、さまざまな親と子どもの関係が生き生きと描かれるが、自分も思い当たる言葉にも出会う。例えば、「勉強しないなら、受験なんてやめてしまえばいい」といったものだ。評者は、特に「第二章 大人の葛藤」の、大人(親)についての様々な考察(「子供は簡単に自分を責めてしまう」、「よそよそしい家族」、「がんばっているのに、成績が伸びない」、「子どもの生き方は、もう決まってる」、「思春期の子どもがわからない」、等々)に舌を巻いた。そのうち、「思春期の子どもがわからない」を少し詳しく紹介したい。

   著者は、思春期の子どもがますますわからない所以を、臨床心理学者の河合隼雄が「私たちは大人になるために日々自分をつくり変えながら生きてきたからだ」ということや「思春期と大人のいまとでは意識の状態が、というより意識の規格そのものが違うから、大人はいったんそのころのことを忘れてしまうと再び取り戻すことができないこと」を理由にあげる。そして、子どもを理解することではなく、子どもと自分との関係性を理解することであることがわかるのだ。すなわち、「子どもが苦しんでいるときに必要なのは、理解できないままに、ただ近づいて心に触れることだけです。子どもの苦しみを理解して解決しようとするのではなく、解決にこだわらずに、ただ心を通わせる対話ができれば、それで十分です」と。

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