「10連けん玉」3週間で攻略せよ! 膝の使い方が「芸術」、汗と涙と挑戦の結末は

【J子が行く】J-CASTトレンド記者「J子」とその同僚たちが、体を張って「やってみた、食べてみた、行ってみた」をリポートします。

   J子の元にある矢文が届いたことで、涙無くして語れない「挑戦」が始まった。

な、なんだこの矢文は!
な、なんだこの矢文は!

   差出人は玩具問屋・堀商店(名古屋市)の成瀬昭則さん。この時代に矢文...? 恐る恐る開くと、圧の強い筆跡でこう記されていた。

堀商店の成瀬さんから届いた挑戦状
堀商店の成瀬さんから届いた挑戦状

   「奇天烈な十連けん玉」とは、競技用けん玉の生産日本一を誇る山形工房が販売している、一風変わったけん玉だ。一気に、10個の皿に玉を乗せないといけない。J子、けん玉は一皿にしか乗せたことがありませんが(普通)。

   3週間で出来るのか、なんて考えているうちに、成瀬さんから「例のブツ」が届いてしまった。

  • 失敗すると玉が床に叩きつけられるので、挑戦は柔らかい素材の上で
    失敗すると玉が床に叩きつけられるので、挑戦は柔らかい素材の上で
  • 紐が皿に絡まり、玉の長さが変わってしまっている状態で挑戦すると、成功させようがないので注意
    紐が皿に絡まり、玉の長さが変わってしまっている状態で挑戦すると、成功させようがないので注意
  • 失敗すると玉が床に叩きつけられるので、挑戦は柔らかい素材の上で
  • 紐が皿に絡まり、玉の長さが変わってしまっている状態で挑戦すると、成功させようがないので注意

「楽勝だ」って、思ってた

   箱を開けると、カラフルな玉が10個お目見えした。横幅が約60センチもあって、思っていたよりもずっしりとしている。子どもにはちょっと重いかも。

こんなにカラフルなけん玉が、未だかつてあっただろうか
こんなにカラフルなけん玉が、未だかつてあっただろうか

   スタートは2021年5月21日。土日を除く平日夜にだけ毎日練習するとして、期限は6月18日。あれ、意外と猶予があるな。楽勝かも?

ビギナーズラックを期待して、一回目!
ビギナーズラックを期待して、一回目!

   玉がしっかり静止するまで待ち、膝を柔らかく使って、思いっきり持ち上げる。1個くらいは乗るでしょ、と思いきや、まさかの0個! いやいや、10個も玉があるのに1つも乗せられないなんてこと、あります?

   まあ、大丈夫! 何回か続けていれば、そのうちポンポン乗るようになるって。

2回目:1個
3回目:4個
4回目:0個

   ...まったく安定しないし、半分も乗らないのはなぜ。

   皿に乗ったとしても、角度が悪いのか弾かれて落ちてしまう。そういえば成瀬さんが、「考えた人を恨みたくなるような難しさ」って言っていたっけ! これは侮っていた。成功するイメージが全く湧かない。本当に10個、乗るんですか。依頼人を恨みたくなる難しさです。

   13回、立て続けに失敗したところでようやく思い至った。そもそも「やり方」...これで合ってる?

「私はいったい、今まで何をしていたのか」

   もはや、プライドもへったくれもない。誰の力も借りずに「我流」で成功させるつもりだったが、3週間以内に攻略するために手段は選べない。山形工房がユーチューブで公開している、10連けん玉の解説動画を見ることにした。すると...

私のやり方とまるで違う、だと...!?
私のやり方とまるで違う、だと...!?

   信じられない光景が広がっていた。まず持ち方が違う。J子は両端を持っていたが、正しくは「端から3つ目の皿」を持たなければならないらしい...。約2週間も間違った方法で頑張っていたなんて。私はいったい、今まで何をしていたのか。

   一番違うのは、「膝の使い方」。J子は一瞬、ぴょこんと膝を曲げ伸ばす程度だったが、見本動画では(1)最初から膝を曲げて、前傾姿勢で構えを取り、(2)かかとが床から離れるくらい大きく伸び上がり、「膝の曲げ伸ばし」の力だけで玉を上に持ち上げる(腕力を使わない)、(3)床すれすれのところで、玉の下に潜り込むようにして受け止めている。なんてアクロバティック! 芸術的だ。

   さらに動画では「玉を引き上げたときに糸が小皿の縁に触れるのを避けるため、皿を前に傾けて持つ」「左右の高さに差が出ないよう、真上に玉を引き上げる」ことがポイントだと説明していた。自分の挑戦動画を見返すと、玉の持ち上がり方がバラバラで、右側が大きく上がりやすい。利き手である右手の方が力んでしまうせいだ。

   つまりJ子は、腕で玉を持ち上げようとしているってことだ...。逆に言えば、玉を膝の力で全て均等に引き上げられさえすれば、後は皿で受け止めるだけ。成功までの道筋が、はっきり見えた!

玉の持ち上げ失敗例(上)と、成功例(下)
玉の持ち上げ失敗例(上)と、成功例(下)

ラスボスじゃなかったのかよ

   来る日も来る日も山形工房の教え通りに挑戦し続けること、幾星霜。乗る玉の数が7~9で推移し始めた。ゴールが近い!

   努力が実ったのは、6月17日のことだ。期限まであと2日しかないという「焦り」で自分を追い込めたことが、かえって功を奏した。

   正直、成功して真っ先に感じたのは「信じられない!」だった。失敗して玉が落ちると、両手ごと体が下に強く引っ張られるが、1個も漏らさず皿に乗せられると「カチッ」という音も揃い、衝撃も少ない。これぞまさに「ちょー気持ちいい!」。

度重なる練習の結果、皿の縁に玉が何度もぶつかって色が移ってしまった
度重なる練習の結果、皿の縁に玉が何度もぶつかって色が移ってしまった

   無事、期限の「3週間以内」に(ギリギリ)間に合ったので、「ら、楽勝で攻略できましたけど?」と、成瀬さんにドヤ顔で報告。すると成瀬さんは祝福の言葉と共に、山形工房・梅津雄治代表取締役社長からのメッセージも届けてくれた。「成功おめでとうございます!すごく難しいけん玉なのに諦めずにチャレンジして成功されたこと、とても素晴らしいと思います!」...褒めていただけて光栄です!

   このときのJ子は知らなかった。まだ「上」があることを。

「せっかく習得されたので、宴会や余興などでみんなを『おおーーっ!!』と言わせる持ちネタとして活用してもらえると嬉しいです。また、50連けん玉も存在するので、機会があればそちらにもチャレンジしてもらいたいと思います」

50連けん玉
50連けん玉
50連けん玉

   ...読み間違いかな。

   目を擦ってもう一度、見直したが「50」の文字は変わらずそこにある。「10連」ですらここまで苦労したのに、5倍! 一人じゃ、そもそも皿を持ち上げられる気がしない...誰か一緒に挑戦してーっ!

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