「ラストラブ」
63歳田村正和、キザな愛のセリフが生々しい

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   TVドラマ「古畑任三郎」の田村正和が「子連れ狼 その小さき手に」以来14年ぶりに映画に戻って来る。映画の宣伝はこのことを強調するが、これほどセンセーショナルなのか? かっこつけの田村正和はワンパターン化しただるそうな喋りと使い古しのスタイル。セリフがかすれ、語尾を飲み込むので聞こえないのが難点。サックスを持った時だけなんとか様になる。先ごろ亡くなった長兄の田村高広が「プルコギTHE焼肉MOVIE」でちょっとだけ顔を見せてもカリスマ的存在感を示していたのと対照的だ。

(c)2007「ラストラブ」フィルムパートナーズ
(c)2007「ラストラブ」フィルムパートナーズ

   原作は携帯サイトから処女作「Deep Love」を発信して2000万超のアクセスを記録したというYoshi。中山和記プロデューサーに頼まれて、この映画のために書き下ろしたという。TV出身で、死に行く女性を描く「アジアンタムブルー」で映画デビューした藤田明二監督。田村の相手役は「椿山課長の七日間」の伊東美咲。子役にTV「ちびまる子ちゃん」の9歳の森迫永依ちゃん。親友に「写楽」の片岡鶴太郎。他に「木更津キャッツアイ」シリーズの韓国のユンソナや「大奥」の高島礼子。

   舞台は東京とNY。ロケーションのカメラは観光案内的に名所を紹介していくのが楽しい。日本では山下埠頭、品川駅、神奈川県庁、成田空港、それにジャズクラブBIRDLAND。NYではセントラルパーク、ブリーカーパーク、インターコンチネンタルホテル、新築のタイムワーナービル。10年ほど前まではセントラルパークを見下ろすアパートに住んでいた筆者には懐かしい光景だ。しかし景色が良いからと言って映画が優れている訳では無い。

   ジャズの本場NYで一流のサックスプレイヤーだった阿川明(田村)は妻(高島)の死をきっかけにジャズ界を引退してNYから姿を消す。ジャズの夢を追いかける余り家族に犠牲を強いたと自分を責め続ける。今は友人(片岡)の経営する旅行会社に勤め、娘の佐和(森永)と暮している。清掃局に勤務の上原結(伊東)は清掃車のルートチェックでたまたま阿川のごみの出し方が間違っていることを強く指摘する。二人が再会するのはNY。結は同僚とNYの視察ツアー、阿川は添乗員として。結は阿川の優しさに結婚を控えての不安を話し始める。

   二人は互いに魅かれあうが、大きな障害が次々と現れるのは予想通り。更に阿川の夢はもう一度晴れの舞台でのサックス演奏。演じる63歳の田村に30歳の伊東だが、年の差を乗り越えたロマンスはあるのだろうか?「僕の時間は過去だが、君の時間は未来だ」の田村の気障なセリフはだから妙に生々しい。田村が呟く「これが最後の恋なのだろうか」は当たり前のことだろう。二人が始めて打ち解けるクイーンズサイドからブルックリンブリッジ越しにマンハッタンの高層ビルの景色はいつもながら美しい。NYのジャズシーンも臨場感がある。

   ただかなりご都合主義のストーリー展開に興ざめがする。

恵介
オススメ度: ★★☆☆☆
ラストラブ
2007年日本映画、松竹配給、1時間50分、2007年6月16日公開
監督:藤田明二
出演:田村正和 / 伊東美咲
公式サイト:http://www.lastlove.jp/
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