民主政権誕生で大はしゃぎ 「1番」はこの週刊誌
小沢政治の正体とは
新潮は、この選挙結果を「われら衆愚の選択」と斜め斬りだが、内容は他誌と大差ない。
さて、宴は終わって、数の上では、かつてない大政党が誕生した。こんなに勝たせてしまって大丈夫なのかという不安はあるが、それをひとまず置いておいて、週刊誌が指摘する問題点は3つに集約されるようだ。
1つは、鳩山由紀夫氏のリーダーとしての資質。2つは、田中角栄が作り上げた大派閥を超える「小沢派」を率いる小沢一郎氏が、次に何を考え、どう動くのか。3つ目は、霞ヶ関支配を打破するといっているが、本当にできるのか。
1に関しては、現代を除いてはどこも、まずはお手並み拝見といったところか。小沢氏については、どれを読んでも、確たるものがない。
「小沢の狙いは明確である。場合によっては、鳩山内閣をつぶしてもいい。(中略)是が非でも予算を3回通して、4年間政権を維持し続ける。その間、官僚と自民党とマスコミが作った政治システムを壊せば、『日本改造』が達成できると信じているのだ」(上杉隆「小沢一郎の17年戦争」朝日)
「『小沢政治』に大義などない。今でこそ対米自立を説くが、自民党幹事長時代に米国の言いなりになって、430兆円もの公共事業を約束したのは小沢氏だった。今でこそ小泉構造改革を批判しているが、かつての著書『日本改造計画』は小泉張りの思い切った規制緩和を主張していた。(中略)とても体系立った理念や日本の将来像を持っているとは考えられない」(清水英輔「小沢一郎支配の始まりと終わり」現代)
「小沢氏は本来、国民には『自己責任』、国家には『普通の国』論を唱えてきた新自由主義者だ。(中略)そうした小沢流の国家改造計画に強権的な政治手法が加わると政治的大混乱を招きかねない」(「『小沢闇将軍』が日本を支配する」ポスト)
小沢氏の考える「日本改造計画」の全貌は、最近、本人がまったく語らないため、茫洋としてつかみ所がないのだ。
霞ヶ関の官僚支配からの脱却も、そう簡単なことではない。官僚の反乱で、鳩山政権を立ち往生させないためには、長谷川幸洋・東京新聞論説委員が現代で書いているように、メディアが官僚の流す情報に引っ張られず、政治の一プレーヤーとしての自覚を持たなくてはならない。
どちらにしても、ここまで民主党を勝たせてしまった責任は、最長4年間、国民が負わなければならない。週刊誌には、これまで以上にしっかりと権力・民主党を監視し、報道してもらいたいものだ。