子ども手当てをあざ笑う? アメリカ産業政策と日本の空洞化
<テレビウォッチ>急成長するアジアの活力を日本の成長にどうつなげるか。シリーズ「アジア新戦略」で、この動きをさぐる。まずは、企業の動きと国の戦略。焦点はASEANとインドだ。
先月、インドに日産の工場が完成してマーチの新型車がラインを出た。今後10年で3倍の600万台になるといわれるインドで、日産は5.5%のシェアを目指す。そして、部品の85%を現地で調達する方針だ。
海外で完結
日産はまたタイでも新型車の生産を始めたが、これは日本への輸出もにらんでいる。日産が必要としているのは、日本の部品メーカーの進出のスピードだ。目指すは、部品の調達から生産、販売までをこなす産業の集積だ。
人口11億人のインドと6億人のASEANとの自由貿易協定(FTA)が1月、発効した。域内の関税は6年以内にゼロになる。
三洋電機はインドネシアでテレビの生産工場をたちあげ、年間120万台、うち79%を輸出するという。とくにインドだ。これまでは10%の関税がかかったが、インドネシアからなら、やがてゼロになる。
そして日本企業は、自動車、家電などのほか、日本通運は、物流の流れをこれまでに築いた中国からASEAN、8000キロのネットワークを、インドにまで伸ばそうとしている。
深川由紀子・早大教授は、「安い労賃を求めた従来の進出とは、構造的にまったく違う。経済活動を地域で完結させるトータルオペレーションだ。が、変化が早すぎて必ずしもついていけてない」という。
また、これら企業の上げる利益が日本に戻ってきていない。海外での内部留保は、20兆円といわれる。理由は極めて単純、利益を日本に移すだけで、20%の税金がかかるからだった。政府はさすがに制度を変えたが、資金は動かない。投資先としてすでに日本は魅力的でないからだ。