「もう1回誘拐して」の怜南に涙MAX 最終回ダメ押しの泣きっぱなし
<Mother (日テレ系水曜>「Mother」が終わった。確かな愛を感じられる結末でよかった。毎週号泣といっても過言でないくらいハマっていた。虐待を受けている教え子・怜南(芦田愛菜)を誘拐し、その母親になろうとする女教師・奈緒(松雪泰子)。実は彼女自身、母親に捨てられた過去をもっていた。荒唐無稽な話なのに、こんなに感情移入してしまうのはなぜだろう。一つ一つのエピソードが秀逸で説得力があるのだ。脚本、演出、女優陣、まさに三位一体の賜物にちがいない。
それぞれの母親がそれぞれ悲しい
胸に残るシーンはいくつもある。辛いことを忘れるために怜南が綴っていた「すきなものノート」。そこに書かれていたのは、彼女が幸せだったころの記憶の断片だ。夜な夜な郵便ポストの周りをうろついていた理由が、自分を「赤ちゃんポスト」に入れてほしかったからだったなんて……。初回から心を鷲づかみにされてしまった。
わが子を奪い返しにきた虐待の母に、「怜南はもういないの。天国に行ったんだよ」と決別を告げる娘。やがて響く地鳴りのような慟哭。子供がこんな声で泣くのを、かつて聞いたことがない。
逮捕されてしまうが、執行猶予がつき自宅に戻った奈緒。携帯電話の電源を入れると、連なる非通知の着信履歴。はたしてそれは怜南から――。養護施設で元気に暮らしていること、楽しい様子を一生懸命話す怜南の顔が突然ゆがんで、「お母さん、いつ迎えにくるの」。トドメが「もう1回、誘拐して」
参った。ここが私にとっての泣きのMAX。
奈緒を軸として、ドラマにはさまざまな母親像が登場する。もちろん虐待の母のストーリーもきちっと描いている。いい母親になろうと努力していたのに、次第に娘がうとましくなっていき、「お母さん助けて」の叫びについに顔をそむけてしまう。その行為は鬼畜だが、彼女の疎外感、子育ての孤独はひしひしと伝わってきた。