日本農業「海外進出」始まった!新富裕層狙い現地生産・販売
2011.03.11 15:51
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メイド・バイ・ジャパニーズ
農業経営が専門の本間正義・東大大学院教授は「頼もしいですね」と話す。
「日本の農業が世界をターゲットに展開していくには2つの方法があります。1つは日本で作って輸出する。もう1つは技術とか農業経営そのものを輸出してしまうやり方です。
その後半部分の展開が始まった。『メイド・イン・ジャパン』だけでなく、『メイド・バイ・ジャパニーズ』という新しい展開です」
とはいっても、マーケットは国内と考えてきた日本農業がいきなりの海外進出には不安もある。森本健成キャスターは「見ず知らずの土地に行っていきなり農業を始めるわけで、成功のカギはありますか」と聞く。
「技術だけではダメ。現地に行ったら農地を手に入れなければならないし、人も雇わねばならない。現地の慣習や商いを理解する必要もあります。なにより大事なのは作ったものをどうやって売るか、流通が最大の課題となりますね」(本間正義教授=前出)
農業の世界戦略とでもいうのか、都内のベンチャー企業が取り組んでいる製造業の手法を使った農業ビジネスも面白かった。優れた日本の農業技術をマニュアル化して無償で海外の企業に配布、マニュアル通りに栽培してもらう。栽培した農産物をベンチャー企業が全量買い上げ、アジアなどの新興国へ流通させようという戦略だ。
「着想は素晴らしいが、製造業のようにはうまくいかない」(本間正義教授=前出)
気候変動や病虫害の発生にどう対処するか、農業は変動要因が多く、マニュアルプラスアルファが必要だというのだ。
関税自由化などで、このままのやり方では先細りが見えてきた日本農業。こうしたパイオニア・ワークの努力に期待が集まっている。
*NHKクローズアップ現代(2011年3月9日放送「シリーズ変わる農業 味と質で勝負ニッポン農業に勝機あり」)