2024年 5月 6日 (月)

原発を目の前に考えた…気軽に「頑張って!」と言えない福島の絶望

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さらに恐ろしいシナリオの始まり

   また、東電関係者の次の言葉は、命よりカネが大事な国や東電、それに福島原発の供給する電力で安穏に暮らしてきた東京都民が真剣に受け止めなければならない。

「国と東電は、避難範囲をこれ以上広げたくない。ましてや『距離よりも風(放射線の拡散で重要なのは、距離ではなく、風向きと地形だというコメントが前にある=筆者注)』という説も絶対採用したくない。なぜなら、避難範囲を10km広げることで、補償金額は莫大に跳ね上がるからです」

   被災地の人たちのなかには、自分の身に起こった天災は苦しく悲しいけれど、時間が解決してくれるかもしれないと前向きに考えている人も多いようだ。

   しかし、人災である原発事故は、気軽に「頑張って!」といえない絶望感を広げている。地元にもほとんど来ないで、テレビで避難指示を出せばことたれりとする政治屋たち。透明性など欠片もなく、ただおろおろする東電首脳陣のていたらくは、「週刊文春」の「東京電力『福島第1原発』の叛乱」に詳しい。

   ここで、第1原発の現場で必死に闘っている吉田昌郎所長が、アメリカNRC(アメリカ原子力規制委員会)が提案してきた窒素封入(注入)をやることに反対し、「本社はいつも、がんばれ、がんばれ、と言うだけだ!」「もう、やってられねえっ!」と叛乱を起こしたというのだ。決断できない菅首相に業を煮やしたアメリカが介入してきたことで、現場が一枚岩でなくなってきている。これこそさらに恐ろしいシナリオの始まりではないのか。

   人影が消えた浪江町役場の周囲には、ほぼ満開になった桜が青空をバックに美しく咲いていた。その花の下にこういうスローガンを書いた横幕が張られていた。

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