割れる福島浪江町避難民「新しいふるさと作ろう」「いや帰りたい」
2011.09.11 18:00
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町長は「みんなで帰ろう」
「町の結束は揺らいでいますね」
臨時町役場が設けられている二本松市の仮設住宅で、キャスターの国谷裕子が馬場有町長に聞いた。
「私は思うんですが、浪江町の空気、土壌の匂いがみんなには染みついています。二本松市に役場を置かせてもらっていますがどこか違うんですね。
代替地を求める考え方は大胆な発想だと思う。生活を支えていく者にとっては、そういう発想も必要かなと思う。しかし私どもの絆はそう簡単なものではない」
国谷「存続は土地なのか人々の絆なのか。若い人たちは相当迷い、考えたと思います。町長ご自身はどうお考えかですか」
これに町長は「どちらも大事だ」というしかなかったが、最後に政府への不満を次のように語った。
「除染、除去してくれと要請しても、いまだに実行されていない。まずもって除染をきっちりやってもらうこと。それでもどうしようもないなら次の手を考えないと。2、3年が限界で、その間に明確に帰還できる状況を作っていかねば…」
浪江町の空気や土壌の匂いは今もそのままかもしれないが、色も臭いもない放射性物質が蓄積している今の浪江町はまったく違う。番組は深追いしなかったが、先に文科省が発表した土壌汚染の数値を見ると、除染で2年後に住めるようになるのかどうかは疑問だ。同程度の汚染でもチェルノブイリは25年来立ち入り禁止になっている。
*NHKクローズアップ現代(2011年9月7日放送「町をどう存続させるか~岐路に立つ原発避難者たち~」)