人気の歯科インプラントで死亡事故―儲け優先で未経験・未熟医師が治療
2012.01.20 11:47
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失った自分の歯の代わりに、人工の歯を取り付けて噛む力を取り戻す歯科インプラント治療は、いまや歯を欠損した人の1割が装着している。従来の入れ歯やブリッジと比べ、食生活を向上させる夢の入れ歯のはずなのだが、治療後に歯や口腔の痛み、しびれ、麻痺などさまざまな後遺症に悩み、顎の動脈が切れて患者が死亡する事故まで起きている。十分な治療の技量もない歯科医が、高収益を求めて無理な治療を行っている背景があるからだ。
急増する「国民生活センター」相談
インプラント治療は歯が欠損した部位の顎の骨にチタンやチタン合金製でできたネジ状のインプラント体(人工歯根)を埋め込み、それを支台に人工の歯を取り付ける治療法だ。入れ歯やブリッジに比べて噛む力が元の自分の歯と同じように戻り、長期間利用できることから治療を受ける人が増えている。
ところが、国民生活センターが2006年度から5年間に2000件以上の相談が寄せられと発表した。このうち、インプラント治療で被害を受けたトラブル相談は343件に達し、内容は歯や口腔の痛み、腫れ、しびれや、痛みが取れず夜眠れない、食べ物を噛めず体調を崩したなどさまざまだ。
NHKが歯学部のある27の大学病院を対象にアンケート調査した結果、インプラント治療後の不具合を訴えてた患者がこの2年半で2700人以上にのぼっていることが分かった。背景として大学病院が挙げた理由は、「最初に治療した歯科医院での知識、技量不足」が86%、「難しいケースにもかかわらず無理な治療を行った」が76%にのぼっている。