2024年 5月 7日 (火)

3・11から1年のデータマップ…避難住民9割が家族離散状態

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   死者1万5854人、不明3276人(2012年2月末現在)を出した東日本大震災からまもなく1年になる。この震災で国や自治体、研究機関などは膨大な被災情報を記録した。NHKはこれらから詳細なデータマップを作って突き合わせ、解析をした。その結果、これまで見えなかったものがいくつも浮かび上がってきた。

被災企業4608社いまだ3割が事業停止・実態不明

   津波によって被災した企業は4608社にのぼる。うち3割の1493社が事業停止・実態不明だ。信用調査会社がこれを追跡調査したところ、特定地域に集中していた。最も多いのが石巻の170社 だった。なぜか。漁港地区の水産加工会社の木村長努社長は「作れない。動けない」という。50年来、 特産の「くじらの缶詰」を作ってきたが、漁港周辺は1メートル以上も地盤沈下して、復興交付金でかさあげをする予定だが、まったく動いていない。カベは都市計画の遅れだった。

   実態不明企業の大半がこの地区にある。漁業関連の雇用は5000人。地元が国に要望を出したのは昨年6月だが、第3次補正予算が11月、現地調査が12月、計画策定は1月になった。2月に行われた説明会で「工事は平成26年までかかる」といわれた。「もっと早くできないのか」「見通しのないところではやっていけない」

    建築制限も企業の動き出しを縛っている。南三陸町では5割、女川町では9割、名取市では全企業が制限区域内にある。石巻の商店街も被災250店舗のうち6割が閉めたままだ。この1年で人口が1万人減った。収入がないと生きていけないと、1人また1人と去った。「人がいなくなると、町でなくなる」

   阪神大震災以来、震災復興で提言を続けている経済評論家の内橋克人氏は、「阪神のとき以上の熱気と怒りを感じる。漁業は多層産業だ。水産加工、冷凍、製氷、造船、電気の全部が動かないといけない。必要なのはスピードだ。熱意のある企業ほど急いでいる」という。

   低利 融資や補助金、債権買い取りはあるが、中小には条件が厳しい。実態不明企業の67%が売り上げ1億円未満である。内橋氏は「ひとつの遅れによって、全体が崩壊するのを恐れる。将来のあるべき姿を描いて、深く掘り下げた対策が必要だ」とも語る。

文   ヤンヤン
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