2024年 4月 26日 (金)

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「週刊ポスト」アベノミクスに乗った見出しで記事は批判―編集長、どっちなの?

   最近の『週刊ポスト』はますます不思議な雑誌になっているように思う。今週の巻頭の「ボーナスが上がる会社 (こちらは小さく=筆者)上がらない会社」と「3か月で4億円稼いだ33歳個人投資家ほか億万長者が続々誕生中」というタイトルを見ると、アベノミクス喝采派のように思えるが、内容を読んでみるとそうではない。ならば直截にアベノミクスを批判するタイトルを付けたらいいと思うのだが、凡人にはうかがい知れない深謀遠慮があるのだろうか。

   週刊ポスト編集部は有名企業65社の今年のボーナスを「徹底調査」したそうである。このところ自動車業界をはじめとして景気のいい話が出ている。回答した中で自動車産業や三菱重工、カシオ計算機など過半数34社が前年よりボーナスをアップしたと答えているが、4割近くの24社ではボーナスが前年よりダウンしたという結果が出た。

   そもそも自動車業界は企業努力で1ドル=70円台でも黒字が出るところまで業績を回復させていたので、アベノミクス効果ではないのではないかと疑問を呈する。トヨタ労組の鶴岡光行執行委員長は「(アベノミクス効果は)申し訳ないが、ない」と話しているし、ホンダ広報部も「アベノミクスの影響で一時金がアップしたわけではありません」と答えている。さらにトヨタの場合、利益をボーナスに還元するのはほんのわずかで、大半は内部留保として積み上げてしまうのである。かくしてポストはこう書く。

<業績回復しても企業が社員に思い切って還元しようとしない現在のやり方が続くなら、アベノミクスもいずれ、国民の生活を豊かにしない『陽炎景気』と呼ばれることになるだろう>

   さらに矛先は大メディアへと向かう。<奇妙なのは、大メディアが今回のボーナス増額を、まるで給料が大幅アップされるように誇大な賃上げ報道を展開していることだ。日本経済新聞は春闘の一斉回答が出された翌日の朝刊(3月14日付)で、「『賃上げ』物価目標超え年収増、相次ぎ2%上回る」との見出しでこう報じた。「組合要求の年間一時金約205万円に満額回答したトヨタ。定昇維持分と満額回答の年間一時金を合わせると、組合員平均で5・5%の年収増になる」
   トヨタのボーナスアップ額は平均24万円で、従業員平均年収の「3.2%」だ。定期昇給部分は現状維持だから賃上げになっていないし、現状維持であれば企業側の人件費負担は原則変わらない(定年などで退社する人員と新入社員など入社人員の構成次第)。それなのに、日経は社員の年齢が上がれば当然もらえるはずの定昇まで「賃金上昇分」に計算して、あたかも労働者に還元されているかのように伝えているのである。
   賃上げの原資がないわけではない。
   日本ではバブル経済末期の97年をピークに、労働者の平均賃金が下がり続けている。10年以上の長期にわたって賃金が下がっているのは先進国で日本だけだ。国税庁の民間給与実態調査によると、大企業(資本金、10億円以上)の従業員の平均年収は2001年の約615万円から11年には約436万円へと3分の2まで落ち込んでいる。しかも、その間に企業は内部留保を貯め込んでいた>

   週刊ポストの報道姿勢は買うが、それならばタイトルではっきりそれとわかるつけ方をしたほうがいいと思うのだが、編集長、いかがだろう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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