2024年 4月 27日 (土)

「ふるさと納税」特典競争が過熱!自治体収支マイナスの本末転倒

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   北海道中部の上士幌町は人口5000人の酪農の町だ。年間の税収は約7億円だが、このところ税収を上回る寄付が集まっている。去年4月(2014年)からで8億4000万円で、町は「人口が倍になったような」という。「ふるさと納税」の寄付である。

   制度の導入は2年前だった。寄付のお礼に地元特産の「霜降り和牛」を用意した。「このあたりは半返しが習慣なので」と、寄付額の半分を返す気前のよさが話題になって、雑誌の取材が相次いだ。いま入金が1000万円を超える日が続く。

   寄付金は子育て支援・少子化対策に当てられる。スクールバスを750万円で発注し、図書館には「夢基金」と名付けた60万円分のDVDが揃う。 今後、幼稚園の無料化や早期の英語教育も計画している。

寄付上回る居住住民の税金控除

   2008年に導入された「ふるさと納税」は地方と都市部の格差是正が目的だ。生まれ故郷はもちろんだが、応援したい自治体・政策に寄付をすると、一定の条件で居住地で税金が控除される。全国の6割の自治体が参加しており、昨年度の寄付額は130億円にもなった。政府はさらなる規模拡大を決めた。

   取り組みを検索できるポータルサイトも登場して、政策内容や特典(お礼)の詳細を見ることができる。肉、魚、野菜、酒、麺類などに分類され、写真がずらりと並んでさながら通信販売サイトだ。高額商品の競争も過熱して思わぬ事態も起っている。

   静岡・富士市は「特典には節度が必要」とお礼の金額を3割に抑えていた。正論である。ところが昨年、送られてきた寄付金は約100万円なのに対して、富士市民が他の自治体に寄付した税金の控除額が約309万円と200万円の赤字になった。住民サービスは逆に低下し、市議会は特典の見直しを検討中だ。

   中央と地方の調整のはずが、地方同士の競争でおかしなことになった。東京大の宇野重規教授は「消費者主義と地方同士の競争は制度の本来からははずれます。一方で税収を上回る寄付が集まるところもあり、政策への関心も高まる。コインの裏表みたいなものです」という。

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