2024年 5月 4日 (土)

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山口組「名神戦争」ドンパチより情報戦!警察巻き込んで互いにスパイ潜入

   山口組が分裂してヤクザに強いノンフィクション・ライター溝口敦氏が大車輪の活躍である。何事も一芸に秀でるというのは強いものだと感心する。『アサヒ芸能』も溝口氏の連載を載せているが、そちらではなく、山口組から分裂して新組織「神戸山口組」を結成し、組長に就任した井上邦雄組長が発会式直後に出した「声明文」を紹介しよう。

   「山口組創立百周年式典も慶事に終り初代山口春吉親分始め五代目渡辺芳則親分まで幾多の苦難を乗りこえ現山口組を築かれ 特に山口組三代目田岡一雄親分に於かれましては敗戦直後の最も厳しい中官憲の重圧にも屈することなく現山口組の礎をつくられた偉大な親分であります」

   しかし、司忍六代目組長には厳しい言葉が並ぶ。「現山口組六代目親分に於かれては表面のみの『温故知新』であり中身にあっては利己主義甚だしく歴代親分 特に三代目親分の意を冒涜する行為多々あり」

   続けて、離脱に至った心中を明かしている。「此の儘見て見ぬふりで見過ごしにする事は 伝統ある山口組を自滅に導く行為以外考えられず我ら有志一同の者 任侠道の本分に回帰致し歴代山口組親分の意を遵守する為 六代目山口組を離脱致し 新なる『神戸山口組』を発足し歴代親分の訓育と魂魄を亡失する事なく心機一転肝刻致し新しい神戸山口組に身命を賭す覚悟であります」

   ここまではっきり本家の親分を批判したのだから、もう元には戻れまい。神戸山口組は司組長らのカネの使途を記した書類を持ち出しているという報道もある。警察に持ち込んで国税から山口組を揺さぶろうというのかもしれない。だが、警察の内部には山口組の息のかかった「スパイ」が何人もいるともいわれる。この「名神抗争」の勝者は、どうやら情報戦に勝利したほうが有利なようである。果たしてそれはどちらか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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