介護施設虐待4年で3倍!現場軽視の運営、閉鎖体質、未熟なスタッフ・・・見える化をすすめろ!
介護の実態映像分析で技術アドバイス
静岡大学の研究チームが取り組んでいるのは介護の見える化だ。ケアの現場の映像をもとに技術向上のためのノウハウを蓄積していく。研究対象となっている茨城・稲敷市の特別養護老人ホームは、入所者の平均年齢87.4歳、平均要介護度4.1以上の重度の高齢者が多い。
ケアレベルの向上のためのモデルに選ばれたのは、働き始めて1年目のスタッフだった。意思疎通が難しい認知症患者が多く、コミュニケーションが思うように取れない。「水を飲んだからトイレに行きましょう」とすすめても、「あそこは汚いから嫌い」と相手にされない。「声かけの仕方一つとっても全然反応が違ったり、怒らせてしまうことが多い」と悩んでいる。
ところが、ベテラン女性スタッフが同じことをすると、認知症の高齢者は安心して受け入れた。研究チームはそれぞれの映像をもとにケアに必要な項目を分析し、ケアに重要なのは「見る」「話す」「触れる」の3つ技量だと結論付けた。「見る」は相手の目を見てしっかりアイコンタクトを取る。「話す」は作業を進めときには関係性を深めるためのコミュニケーションの声掛けを行う。「触る」は手のひらで肩を支えるなど安心させる動作だ。
こうした映像を教材にケアの向上に取り組んだ福島の「郡山市医療介護病院」は、認知症患者の暴力や暴言が3か月後に激減したという。宗像初枝看護部長は「取り組みには時間がかかるという反対意見もあったのですが、いざやってみると患者が反応してくれて非常にケアがスムーズにいき、仕事が楽しくなりました」と話す。スタッフの心構えや動作を訓練しただけで、介護施設内に笑いが響くようになった。
モンブラン