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トルーマン元米大統領の孫の慧眼「オバマが求められているのは謝罪ではなく、何があったかを正直に認めること」
オバマ大統領が広島を訪問したが、同行するはずだった旧日本軍捕虜の米男性の訪問は中止になった。彼が日本のメディアに「戦争終結のために原爆投下はやむを得なかった」といったことがオバマの機嫌を損ねたのかもしれない。
「ニューズウィーク日本版」に原爆を投下したトルーマン大統領の孫、クリフト・トルーマン・ダニエル氏(58)の長時間インタビューが載っていて読み応えがある。
彼の母親はトルーマンの一人娘だ。ダニエル氏は、被爆者で後遺症に苦しみながら回復を祈って千羽鶴を折り続けた佐々木禎子さんの兄と知り合い、子どもたちを連れて広島に行った。以来、広島、長崎の被爆者の体験をアメリカに伝える活動を続けている。
アメリカでは、いまだに先の米男性のように、戦争終結のために原爆投下は仕方なかったという考えが大勢である。ダニエル氏はトルーマンの孫ということで、「トルーマンの決断についてどう思うか」と何度も聞かれてきた。
<「私は被爆者に向かって、原爆投下は素晴らしい考えだったと言ったりはしない。しかし一方で、太平洋戦争を戦ったアメリカの退役軍人に対し、原爆投下が間違っていたと言うこともできない。私はその真ん中で身動きができなくなっており、息子も同じなのだと思う。私たちにとって、あの決断が正しかったかどうかという問いは、その後に相手の立場を理解することや、何が起きたかを伝えていくことの大切さに比べれば重要ではない」>
トルーマンの孫であることで彼はどれだけ苦しんできたのだろう。オバマ大統領の広島訪問については「素晴らしいことだ。そう思わない理由がどこにあるだろう」と答えている。
そして、オバマ大統領がやるべきは
<「謝罪は求められてはいないのだと思う。求められているのは、何があったかを正直に認めることだ。(中略)オバマ大統領はこういう言い方もできるかもしれない。アメリカはすべきと思うことをやった。だが、それがもたらした傷についても認めないといけない」>
インタビュアーの小暮聡子氏(ニューヨーク支局)の祖父は戦時中、岩手県釜石市にあった連合軍捕虜収容所の所長を務め、戦後は収容所の管理責任を問われB級戦犯になっている。小暮がこう結ぶ。
<ダニエルはインタビューの中で、被爆者の中には本当は今も怒りを抱いている人もいるだろうと遠慮気味に口にした。アメリカでは原爆正当論は根強いが、少なくとも彼は被爆者の心情を理解しようとしている。翻って日本人は、アメリカがなぜ原爆投下を正当化するのかを十分に考えてきたと言えるだろうか>
断片しか伝えられないが、このインタビューは今週のどの週刊誌の記事より秀逸である。