もっと利用しよう「24時間訪問介護」1日に何度もヘルパーがやってきて細かくケア・・・費用安く家族の負担軽減
4年前から導入されながら全国の利用者まだ1万3500人
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの岩名礼介・上席主任研究員によると、従来型の訪問介護は、週に数回、1日1回の介護で1時間程度だった。24時間訪問介護は、訪問回数は無制限ではないが、利用者の生活のリズムに合わせ必要な時間に訪問する。さらに、夜間の緊急時に駆けつけたり、電話相談に対応できる体制も整えられているのが特徴という。
料金は利用回数に関係なく定額制で、要介護度5のセキさんの場合は自己負担1割で、最も高いランクの料金で月額2万7450円だ。
ところが、なぜか利用が広がっていない。利用者数は全国で1万3500人ほどだ。事業者数も少なく、全国市町村の8割近くがこの制度を導入していない。岩名研究員がこんな解説をする。「知られていないのが大きな原因です。自治体はサービスにはどういう効果があるのか、利用するとどんな生活が実現できるのか、積極的に発信して欲しいのです。一定のエリアの中でたくさん利用者がいれば、効率的なサービスの提供ができます」
制度を進化させ成果を上げている事業所も出てきている。奈良県大和郡山市で特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人は、4年前から24時間訪問介護を事業の柱に据え、要介護者の自立を促す狙いで訪問するスタッフに介護福祉士だけでなく理学療法士や医療の専門家、管理栄養士、言語聴覚士などを加えた。
この結果、介護だけにとどまらない効果が上がってきている。夜間は自分で排せつできる要介護者が増え、早朝や夜間のスタッフ訪問がなくなった。要介護度が改善した人は101人中17人にのぼり、施設への待機者も激減しているという。
岩名研究員「介護の最大のポイントは重度化させないことです。大和郡山市の施設は、自立するにはどうすればよいかを軸に取り組んでおり大変望ましい。2025年に向けて中心になるサービスと思っている」と強調した。
*NHKクローズアップ現代+(2016年7月6日放送「介護離職、こうして切り抜けました~これは使える!24時間訪問介護~」)