2018年 10月 20日 (土)

入院させたら認知症悪化!ベットに縛りつけられ心身とも衰弱

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   認知症患者をベッドなどに縛る身体拘束が増えている。とくに精神科病院では10年で倍増し、1日に1万件を超えるという。患者数の増加と安全のためというが、拘束が患者の病状を悪化させることも多い。

   2年前に認知症を発症した70代の男性は、夜間に排尿したり大声をあげたりの「夜間せん妄」があったため、息子は介護施設ではなく精神科病院に入院させた。4週間で退院したが、衰弱して要介護度は入院前の2から5に悪化していた。認知症専門医に診てもらったところ、拘束に加え、薬の処方にも問題があった。興奮させる薬と抑える薬を出す、いわゆる「パニック処方」だった。入院中に病院からは「拘束する」という連絡がきていた。

   精神科での身体拘束には法律の基準がある。自殺・自傷の恐れが切迫している、多動・不穏が顕著、患者の生命に危険が及ぶ恐れなどで、代替手段がない場合となっている。

   青森・弘前市の藤代健生病院はできるだけ縛らない。それでも認知症の症状が重い場合は、拘束せざるをえないという。夜間は看護師2人で58人を看る。取材中にも、部屋を間違えたり、廊下で倒れたりが起こっていた。けがをする可能性は常にある。看護師は「ごめんよ」と言いながら縛る。「少ない人数だと、やむをえない」

   5年間で拘束を3割以上減らしたが、関谷修院長は「今後、もっとたくさんの認知症の方が来られるでしょう。今の私たちの体力で対応できるかどうかです」と話す。

食事・洗面・トイレ以外は24時間身体拘束

   山梨学院大学の竹端寛教授は「悪循環になっているんです。患者は縛られたくない、嫌だと訴えても聞いてもらえない。そこで暴言、暴力になる。その症状だけを見て拘束する。結果だけを見て原因を見ていないから、断ち切れないんです」という。

   トラブルも起こる。都内の50代の女性は躁状態で入院した。1週間後、突然心肺停止になり死亡した。原因は血栓が詰まる「エコノミークラス症候群」だった。解剖の結果、肺動脈や両足に血栓が見つかった。家族はカルテを取り寄せて驚いた。女性は食事、洗面、トイレを除いて、胴と両手を1日中拘束されていた。血栓の存在を示す値は、入院当初の「1.11」から心配停止後は「292.10」になっていた。家族は長時間の拘束で血栓ができたのではないかと疑っている。

   NHKの取材に病院は「医師は法に基づいて拘束が必要と判断した。死亡との因果関係は医学的に明らかでない」と回答した。千葉大病院精神科医の上野秀樹さんは「基準には『患者の生命に危険が及ぶ』という曖昧なものがあります。医師の恣意的な判断が入り込む余地があり、家族が納得できないケースもあります」という。

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