2020年 12月 2日 (水)

地面師詐欺に利用される認知症高齢者――ニセ地主役やカネ出し子

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    5年前、赤坂の一等地をめぐる売買で、大手ホテルチェーンが地面師グループに12億円を騙し取られた。この時、地主になりすました高齢男性2人は認知症だった。認知症高齢者が犯罪の加害者になるケースが日本各地で起きている。

   九州で摘発された80代の認知症女性は、リフォーム業者を装った詐欺グループに「銀行でお金を下ろすのを手伝ってくれ」と頼まれ、他人名義の口座から90万円を引き出した。これは別の高齢者宅から盗んだ通帳で、高齢女性は「出し子」として利用されたのだ。

   犯行グループは他の認知症高齢者も利用して、計3500万円を騙し取っていた。グループは逮捕され実刑となったが、高齢女性は不起訴となった。女性の家族は「親切心を利用する、あってはいけないこと」と怒る。

「土地の売買契約に黙って立ち会うだけでいい」

   冒頭で取り上げた赤坂の一等地をめぐる巨額詐欺事件では、主犯格が詐欺の全体像を描き、「道具屋」が書類を偽造し、「リクルーター」の70代女性が認知症の地主役2人を連れて来た。積水ハウスから55億円を騙し取った事件でも逮捕された女性だ。

   ニセ地主の1人は老人ホームで暮らす93歳。元警察官だが、リクルーターの女性について、「女性で年配でね。忘れちゃったねえ。思い出そうにも忘れちゃうからどうしようもない」とほとんど記憶がない。

   もう1人は軽度認知機能障害と診断されていた87歳の男性だ。ある保証人になったことで老後の蓄えを失ってしまったころ、地面師グループに声をかけられた。「説明役」の60代の男は「地主の代わりに土地の売買契約に立ち合ってほしい。いるだけでいい」と話した。地面師グループにとって、判断力は低下しているが、受け答えはできる高齢者は都合がいい。

   3カ月後、東京・赤坂駅近くの銀行の防犯カメラに地面師グループに案内される2人の姿が記録されていた。交渉には買い手側の弁護士と2人の司法書士も立ち合った。地主役の2人はニセの名前を名乗り、ニセの住民基本台帳カードを提示して退席した。その数時間後に契約は成立し、12億5000万円が地面師グループに支払われた。

   今年9月(2018年)、87歳の男性は執行猶予付きの有罪判決が言い渡された。93歳男性も起訴された。しかし、裁判所による鑑定で、「犯行当時、認知症が相当進行していたと推察される」という結果が出て、裁判は中断したままだ。

文   バルバス
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