2024年 4月 30日 (火)

ダムが水害を引き起こす?想定超える豪雨で緊急放流―下流の街や村を濁流が直撃

人気店や企業から非公開の招待状をもらおう!レポハピ会員登録

   水害から街や村を守るはずのダムが、逆に氾濫の引き金になるケースが増えている。愛媛県西予市の肱川上流の野村ダムは、昨年7月(2018年)の西日本豪雨で緊急放流を行い、下流の氾濫で5人の犠牲者を出した。

   前日から雨が降り続き、野村ダムの川西浩二所長はダム容量を確保するため、毎秒300トンの事前放流を決めた。その後、雨は激しさを増し、放水しても貯水量は満水時の9割を超え、あふれ出す危険が強まった。川西所長は「緊急放流は避けられない」と判断したが、暗闇での住民避難を心配して、放流はすぐには行われなかった。

   野村ダムから西予市に緊急放流の連絡が届いたのは明け方近くで、直ちに避難指示が出されたが、連絡が遅れたうえ、大雨のピークと重なって逃げ遅れる人が相次いだ。

管理事務所と自治体が責任なすり合い

   治水が専門の京都大の今本博健・名誉教授は「事前放流を毎秒300トンではなく、500トンに増やしておけば、理論上、ダムの水位の上昇スピードを抑え緊急放流を2時間遅らせ、住民避難が進んだはずだ」という。野村ダム管理事務所はそうできない理由があった。1995年7月の大雨では毎秒500トンの事前放流を行い、下流の堤防のない所で氾濫して1200戸が浸水被害を受けたのだ。以来、事前放流は毎秒300トンに抑えることになった。

   堤防が十分でないなら、避難指示は事前放流の段階で出すべきではなかったのか。作家の石井光太氏は「行政の縦割りに問題がある」とリポートした。「なぜきちんと避難指示が出せなかったのか聞くと、ダム管理事務所は『自治体の問題』と言い、自治体は『緊急放流はダム側の話だから』というんです。ダムをつくったからには、国や自治体が一つになって住民を守る意識が必要だし、欠かせないと思います」

文   モンブラン
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中