2024年 4月 26日 (金)

「かんぽ保険」だけじゃないブラック郵政!リスク説明しないゆうちょ銀の投信、配達事故・・・

   かんぽ生命の不適切な保険販売問題で、日本郵政は3000万件の保険契約すべてを検証するという。「クローズアップ現代+」は昨年4月(2018年)にこの問題を取り上げていたのだが、その後も何の対策もとられず、より深刻化していた。

   昨年の放送は、ノルマに追われ、客を騙して新規の保険契約を取っているという郵政社員の内部告発だった。かんぽ生命の幹部が事実を認め、改善を約束していたが、放送後も「現場」からの情報提供は続いた。いや、むしろ増えて550件にもなったという。

   昨年10月、「知らぬ間に保険に入らされていた」という親子からの訴えがあった。2人の郵便局員が「相続税対策の話です」と訪れ、帰り際に「立ち寄り報告にサインをお願いします」と用紙に署名させられた。

   数日後、家族が覚えのない保険契約の証書を発見した。郵便局員が置いていったチラシの間に挟んであった。娘の死亡保険を母親が受け取る内容で、保険料の総額が10年間で860万円、月7万円の8割近くが掛け捨て特約だった。契約書のサイン欄には、「立ち寄りで」とサインした筆跡が転写されていた。

   「こんな話があるか」。かつて保険会社に勤めていた娘の抗議に、かんぽ生命は2か月後、「保険者の意向と相違している」として、契約を無効とした。詳しい説明はなかった。

開き直る郵便局長「数字をあげなきゃいけないから」

   1年前に内部告発した郵便局員は「何も変わっていない」という。主な手口は2つ。「二重払い」と「無保険」だ。旧保険を終了して新保険にする乗り換えでは、担当者の手当は「半額」だが、新旧契約を7か月ダブらせると手当は「全額」になる。これが「二重契約」だ。新旧の間を空けても手当は「全額」になる。この間、「無保険」になるから、何かあっても保険はおりない。

   かんぽ生命がこの4月に公開した内部資料では、「二重払い」など品質に問題のある契約件数は、2017年の8902件から2018年には9876件と増えている。また、金融庁に届け出のあった「悪質な事例(法令違反)」は、2018年に22件あったが、うち4件には郵便局長が関与していた。郵便局長は「変わらない。数字をあげなきゃいけないから」と話す。

   民営化で、日本郵政は日本郵便、かんぽ生命、ゆうちょ銀行の3つに分かれた。収入の少ない郵便事業を保険と銀行が支えるという仕組みだが、窓口と営業は日本最大の全国組織、郵便局がやる。この持ちつ持たれつの関係が、問題の根底にあると指摘する元役員もいる。

   1年以上取材している望月健ディレクターが挙げた実例には唖然とする。認知症の両親に10カ月で10件の新規契約(京都)、母親に3年連続、5件の契約(兵庫)、夫婦それぞれの両親が不必要な保険に加入(北海道)などだ。

   東京国際大学の田尻嗣夫名誉教授は「ガバナンスの欠如です」と指摘する。「経営が、現場で何が起こっているかも、契約者の声も把握していない。それと、現場力の低下。客を思いやる心を欠いています」

   全保険契約を点検し、ノルマも今年度は白紙とし、抜本的な見直しをするという。しかし、この巨大組織は本当に大丈夫なのだろうか。

文   ヤンヤン
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