2024年 3月 29日 (金)

ひたすら「いいね!」を押し続けて収入を得るネット上の「クリック」代行ビジネスが急速に拡大している。いったいなぜだ?

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   スマートフォンをひたすらクリックして月8万円の収入を得る主婦がいる。やっているのは、SNS上の「いいね!」や「フォロー」を増やしたいという依頼を受けて繰り返すクリックの単純作業だ。「子どもが寝てからやって、これだけでこんなにもらえるんだって、めっちゃ感動しました」と話す声には笑いも混じる。いま、人に頼まれてクリックの数を増やす業者「クリック代行ビジネス」が急拡大している。依頼者→仲介業者→クリック要員という流れだ。

   依頼者は、「インスタグラムのフォロワーを105人分ほしい」「投稿写真をほめるコメントを5人分して」などと仲介業者に頼む。仲介業者はSNSなどでクリック要員を集める。「いいね!100回で2000円」と金額を示して募るサイトもある。要員希望者は仲介業者の募集に応じ、ときには実在する人の名前や顔写真を使って偽りのプロフィールを作り、数百のアカウントを持って、まるで複数人がクリックしているように見せかけて作業する。

  • ひたすらスマホで「いいね!」を押す(NHK「クローズアップ現代+」の番組ホームページより)
    ひたすらスマホで「いいね!」を押す(NHK「クローズアップ現代+」の番組ホームページより)
  • ひたすらスマホで「いいね!」を押す(NHK「クローズアップ現代+」の番組ホームページより)

クリックで子どもの養育費を稼ぐ主婦は「ウィン・ウィンの感じ」

   冒頭の主婦は、夫と子ども2人、新型コロナの影響で収入が減り、仲介業者の募集に応じたことを「スマホのクリックで養育費がまかなえて助かる。深くは考えない。ウィン・ウィンの感じです」と話す。世の中に誤解やニセの宣伝を広げているという罪の意識は思ったこともなさそうだ。

   仲介業者の1人は、SNS、YouTube、ブログなどさまざまなネットサービスに関する依頼を受けているという。「誰もが知る企業も、著名人もいる。1案件1000万円のこともある」とも話す。その依頼を、ネットで募ったクリック要員に振り分ける。全国に数百人、主婦や高校生、大学生、フリーターやニートもいるが、顔を合わせた人はほとんどいない。中には月40万円稼ぐ学生もいて、「みんな喜んでやる」という。

   依頼者の1人、関西でバー3店を経営する男性は、インスタグラムで客を増やそうとしたがフォロワー数が伸びず、「はやる店、いい店と思われたい」とクリック代行業者に1万円を払い、1万人のフォロワーを得た。「広告宣伝と同じ。簡単にアカウントを偽装でき、安いもの。楽勝だと感じました」と、こちらも罪悪感はない。「趣味で撮った投稿写真をほめてもらいたい」といった個人的欲求を満たすためにフォロワー数を仲介業者に頼んで買い、「いいね!」が伸びないからと、これもまた仲介業者に頼む人もいる。

   こうしたフォロワー数や「いいね!」について、ITジャーナリストの高橋暁子さんは「偽りがかなり混じっているが、捕捉はむずかしい。スマホで稼げることが若者や主婦を中心にアルバイト感覚で罪悪感はなく、当たり前になっています」「禁じる法律がないから罪に問えない。これを許していると、サービス自体が成立しなくなる」という。消費者が本当にいいものを見つけられず、誤った品物をつかまされる。本当によいものを持つ業者が売れない。クリックごとに料金が加算されるネット広告の仕組みにつけこんで、ライバル業者が競争相手の広告費を急増させてやろうと、クリック激増の嫌がらせに使うケースもある。

文   あっちゃん
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