東海テレビはいつも何かをやってくれる局だが、この作品も期待にたがわず。冴えない40歳の笛吹新(池脇千鶴)が、アパレル会社の販売員からリストラされて倉庫勤務になる。婚約者には裏切られ、貯金もなく、アラフォー街道まっしぐらで、ふと出会ったバー、オールド・ジャック&ローズ。年齢40歳以上募集の看板を半信半疑で見つめ、恐る恐る応募する。そこには超高齢ママの久慈きら子(草笛光子)ほか、厚化粧のババアがずらりと微笑んでお喋り...。
第3回のエリー(中田喜子)の話が面白かった。団地で出会った初老の男が、かつて結婚詐欺で自分をだました奴だとわかったエリーが、深い傷を舐めながらも、その初老男にしっぺ返しして立ち直る話である。つまり、この世の大半の人間は成功者の中に入れず、自分の現状に切歯扼腕しながら不満を抱えて人生を送る。そこに似たような仲間がいれば、傷は少しは和らぐ。
吉田紀子の脚本は、泣き笑いの滑稽さと、女の残り火に縋って耐えながら生きてゆく普通の中年女の、何かを変えようと努力する姿を夜の街で描く。90歳に近い草笛光子が素晴らしい。演技派の池脇の主演も久しぶりである。倉本ドラマの『やすらぎの郷』でババ軍団をドラマに復活させたテレビ界が、ようやく、ナイトドラマで熟年のお客に気が付いたのか。だが、こんな深夜に年寄りが見ていて、脳梗塞にならないように気を付けろ(笑)。(放送2021年2月6日23時40分~)
(黄蘭)
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