2024年 4月 26日 (金)

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ウォシュレットに警鐘

   ところで、だいぶ前になるが一緒に中国へ行った朝日新聞の元論説主幹が「ウォシュレットのない国には行きたくない」と私にいったことがあった。

   今の日本では、公衆トイレでも用を足すと水が流れ、デパートやホテルではウォシュレットが当たり前のようになっている。だが現代のいうように、外国を旅行するとそうしたトイレを見つけることはなかなか難しい。なぜだろう?

   内閣府の調査によると温水洗浄便座の一般世帯での設置率は2020年で80.2%。

   「しかし、実は海外でほとんど使われていない。旅行などで海外を訪れたことのある方は覚えがあると思うが、海外で温水洗浄便座を見つけるのは至難の業だ。アメリカの'20年時点での普及率は10%未満、中国においては'19年でわずか5%という低い水準にとどまっている」(現代)

   草間かほるクリニック院長で肛門科医の草間香がこう語る。

   「温水洗浄便座による過度の洗浄によって皮脂が取れてしまい、肛門の周りがカサカサに乾燥してしまうという症例が報告されています」

   東京医科歯科大学名誉教授の藤田絋一郎もこう解説する。

   「私たちの体は常在菌と呼ばれる細菌に覆われており、pH(酸性、アルカリ性を示す数値のこと)で4.5から6.0の弱酸性に保たれています。しかし、温水洗浄によってお湯を当ててしまうと、pHが7以上の中性~アルカリ性の状態になってしまうのです。こうなると黄色ブドウ球菌など人体に対して悪さをする菌が傷口から侵入し、皮膚炎を引き起こします」

   1日に2回以上温水洗浄便座を使用すると、肌が本来の弱酸性に戻る余地がまったくなくなってしまうというのである。

   東海大学健康科学部元教授の田爪正氣は、温水洗浄便座の温水タンク内の水に注目し、その衛生状況を調査しているという。

   「温水タンク内の水は水道水に比べ、平均して一般家庭においては30倍、公共施設でも10倍の細菌が存在するというデータが明らかになったのです。これは、温水タンク内では水温が約38度に設定されているため、殺菌用の塩素が蒸発し、機能しなくなることに起因すると考えられています。(中略)

   温水洗浄機能を使っている間、肛門に当たった水はしぶきとなり、周囲に飛び散ります。当然、このしぶきには大便中の細菌が混じっている。温水洗浄便座を使うということは、お尻全体に大便を塗りたくっているのと同じ行為なのです」

   温水洗浄便座の習慣的な使用は、妻や娘などにも悪影響を与える可能性があるという。

   「女性は肛門から近い位置に尿道と膣があるため、温水洗浄便座の定期的な使用による健康被害のリスクが男性よりも高まるのです。具体的には、肛門に当たって飛び散った水による膀胱炎、膣炎の感染リスクが指摘されています」(国立国際医療研究センター病院で産婦人科医を務めていた荻野満春)

   それでもウォシュレットのない生活は考えられないのだが......。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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