2024年 4月 25日 (木)

東京オリ・パラ閉会直後に解散・総選挙?コロナ対策の失敗なんてすぐ忘れる!国民ナメ切った菅首相――ほか5編

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   予想されていたことだが、菅義偉首相がついに東京五輪・パラリンピック開催へと舵を切った。ワクチン接種もまだ途上で、東京のコロナ感染者も激減しているわけではないのに、沖縄を除いて、6月21日(2021年)から緊急事態宣言を解除すると"独断"した。

   NHKが6月14日に発表した世論調査で、東京五輪を無観客か中止すべきだが6割にもなるのに、耳を貸そうともしない。一部の報道では、菅首相は東京五輪・パラが終わったすぐ後に解散・総選挙をする腹積もりだといわれる。国民の安全・安心などそっちのけで、首相としての延命を第一に考えていることが見え見えである。

   ニューズウイーク日本版で民主党や自民党の代議士の秘書を務め、現在は社会情報大学院大学の特任教授・北島純が、菅の考え方には「時間軸の発想」があり、「たとえ短期的に支持率が落ちてもいずれ回復する、あるいは広く知られた不祥事であっても時間がたてば忘却される。一喜一憂しない独特の時間間隔がある」と指摘している。イギリスの歴史家カーライルは、「民衆は老いた女である。ぶつぶつもぐもぐいわせておくがいい」といった。彼は「この国民にしてこの政府あり」といったことでも有名である。

   目的のためには手段を選ばず、人命を犠牲にしても東京五輪をやり抜くというのだから、安倍前首相よりも質が悪い。そんな人間にもエールを送るメディアはあるのだ。週刊新潮がそれである。

   今週の新潮は、「いまの状況で(東京五輪を=筆者注)やるというのは、普通はない」といった尾身茂分科会会長の言葉を、<「世間の目が五輪に厳しく、なにも発言しないままでは立場がなくなると恐れ、問題が起きたときに、"事前にこう言ったじゃないか"と言い訳できるように準備したとしか思えません」(元JOC参事でスポーツコンサルタントの春日良一)>と、自己保身だと切り捨てる。

   さらに、仲田泰祐・東京大大学院経済学研究科准教授たちのグループが5月下旬に出したシミュレーションを持ち出してくる。五輪の期間中に海外から10万5000人が入国すると仮定し、彼らのワクチン接種率を50%として試算しても、増える都内の1日の新規感染は平均15人程度しかない、影響は限定的だとする「結論」を錦の御旗にする。

   私には、なぜ、経済学のセンセイが出したものが正しくて、<「尾身さんの発言が、科学に基づいていると信じている人が多数でしょうが、実は、彼の感覚に基づいていることが非常に多い。(中略)科学の話をせず、感性に訴えるのが尾身さんのやり方です」(東京大・唐木英明名誉教授)>と批判されるのか理解できない。

   私が危惧するのは、強引に東京五輪を開催して多数の感染者が出ても、五輪特有の熱狂にかき消され、スポンサーになっている新聞・テレビも小さくしか扱わないまま、記憶から抜け落ちてしまうことである。それこそが菅の狙いなのだが、民意を蔑ろにして、「普通ではやらない東京五輪」を無理やり開催したことを忘れてはいけない。

医師会「ワクチン打ち代」でウハウハ!?1週間で140万円―自衛隊医官は1日3000円なのに

   本来なら東京五輪の主催者として表に出て発言するべき小池都知事が沈黙しているのはなぜか。サンデー毎日は、7月4日(2021年)に投開票される東京都議選で、彼女が立ち上げた都民ファーストの会が大きく議席を減らすと見られているから、辞任という切り札を切るのではないかと、自民党側が見ていると報じている。

   東京五輪が閉会してパラリンピックが開会した時点で、コロナ感染が拡大していれば、パラ中止を宣言し、責任をとって辞任することで注目を集め、秋に行われる衆院選挙に打って出て、初の女性宰相を目指すのではないかというのである。そんなバカな。

   コロナ禍で泣く人は多いが、笑っている人もいるとアサヒ芸能と週刊文春が報じている。アサ芸は、休業や時短に応じた飲食店に支払われる「協力金」は、規模の小さい対象業者から「濡れ手で粟、笑いが止まらない」という声が上がっていると報じている。取材に応じたオーナーママが1人で切り盛りする家賃10万円のカラオケスナックは、休業を選択したという。神奈川県を例にとると、今年6月までの半年間で888万円の協力金を受け取り、これからの半年と合わせると1年間で総額は1332万円にもなるというのだから、コロナ成金とでもいえるかもしれない。

   だが、浮かれているととんでもないことになるという。罠が仕掛けられていて、協力金や持続化給付金もすべて来年の確定申告の際には所得として計上しなければいけないのだ。差し引くことのできる経費はわずかで、所得税は33%だから、納付額は200万円を優に超える。さらに住民税と国民健康保険料も跳ね上がるそうだ。「菅総理も財務省も、バブリー協力金の3分の1ぐらいは国庫に取り戻せることを知っていた」(自民党の反主流の有力議員)

   その上、コロナ復興税として消費税を上げてくるに違いない。一難去ってまた......である。

   本当に笑いが止まらないのは、日本医師会に所属する開業医たちだと週刊文春が報じる。日頃の政治献金が功を奏して、医師会会員だけにワクチンが分配されていることは前に紹介したが、ワクチン接種の数をこなせば、1週間で約40万円、多くこなす医師では約140万円にもなるというのだ。

   しかし、同じことを大規模接種会場でしている自衛隊医官は、週に1日しか休みが取れなくても、1日の手当ては3000円ぽっきりというのだから、ひどい話である。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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