2024年 4月 17日 (水)

長谷川洋三の産業ウォッチ
「G8では対応十分でない」:世界経済フォーラム会長の直言

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「福田首相はアフリカサミットを主催するなど多くの国々の意見を聞く努力をしているが、主要8ヶ国首脳会合(G8)などの既存の枠組みでは、原油高や食料危機、気候変動など世界が直面する問題を解決するのに十分ではない」――。

   世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長は2008年6月15日、マレーシア・クアラルンプールで開幕した「世界経済フォーラム・東アジア会議」の記者会見の後、7月の洞爺湖サミットに対するコメントを求めた私にこう言い切った。

   シュワブ会長によると現在世界は(1)エネルギー安全保障(2)食料安全保障(3)金融システム(4)気候変動などのリスクに直面しているが、こうした問題を解決するにはグローバルな協力関係が必要であり、G8では十分対応できないという。もっと多くの国々を巻き込んだG15とかG20、あるいは政府間の協力とは別に民間の協力を得た新しいフォーラムが必要だと指摘した。

「資産査定する世界共通の物差しが必要」

   世界経済フォーラム・東アジアフォーラムには日本政府からも渡辺喜美金融担当大臣が出席。「サブプライムローン問題が招いた世界経済の混乱はドルに対する信頼のゆらぎと見ることもできる。本質的な解決が終わったとは思えないし、さらに注意深く見る必要がある」と指摘。その解決のための一策として「資産を査定する世界共通の物差しが必要だ」と発言した。ただG8改革については「シュワブ会長の言う通り制度改革が必要だが、金融大臣はG8に出席できないので発言ができない」と語るに留まった。

   同フォーラムには自民党の川口順子参議院議員(元外務大臣)のほか、民主党からも古川元久衆議院議員など多数の国会議員団が参加。党派を乗り越えて「世界経済を考える議員討論会」も開かれ、対決国会とは一味異なる自由な意見交換風景も見られた。ただ外国特派員の間からは「小泉改革の後を引き継ぐ改革者がいなくなったのでないか」といった質問も飛び出すなど、大連立騒動の中で経済改革への取り組みが遅れていることにいらだつ声は少なくなかった。


【長谷川洋三プロフィール】
経済ジャーナリスト。BSジャパン解説委員。
元日本経済新聞社編集委員、帝京大学教授。BSジャパンテレビ「直撃!トップの決断」、ラジオ日経「夢企業探訪」「ウォッチ・ザ・カンパニー」のメインキャスター。著書に「ウェルチの哲学「日本復活」」、「カルロス・ゴーンが語る「5つの革命」」(いずれも講談社+α文庫)、「レクサス トヨタの挑戦」(日本経済新聞社)など多数。


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