2024年 4月 19日 (金)

トップと現場が責任なすり合い ゆうパック大遅配「必然」だった

お中元のシーズンなぜ避けなかった?

   そもそも、なぜお中元の贈り物が増え忙しくなる時期の最中に統合することにしたのか。7月1日の統合時期が決まったのは09年12月だ。7月は避けた方が良い、との声は社内の幹部や現場から挙がっていたが届かず、その後の修正もきかなかった形だ。「ペリカン便」が先行移管されていた「JPエクスプレス」が月50億~60億円の赤字を出していたため統合を急いだ、との見方もある。

   こうした報道から見えてくる日本郵便の体質とはどのようなものか。リスクマネジメント協会(東京)の理事で、フォーサイツコンサルティング社長の浅野睦(まこと)さんは、「権威勾配が急で、現場の声が権威の強すぎるトップに上がらない状態だったのではないか」と話す。

   また、「納期を守る」などの重要な項目を達成するために、どういうオペレーションを作るか、そのオペレーションがうまくいくかを検証しておくことは基本作業だが、「似たようなことはしたかもしれませんが、厳密にはできていなかったということでしょう」と危機管理意識の甘さを指摘した。

   物流業界の中には、災害などの際にどのように混乱を克服して「次善の解決策」(いつも通りの4時間以内の搬入は無理だが8時間以内には届ける、など)を取ることができるか、を日頃から検討している会社もあるという。こうした会社と比較すると、日本郵便は緊張感のなさを指摘されても仕方なさそうだ。とはいえ、浅野さんは「日本郵便は今回の混乱を教訓に、物流という社会インフラの使命を十分に果たせるようになってほしい、と期待しています」。

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