民主党対中外交の「腰砕け」  船長釈放に与党内から「集団抗議」

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   沖縄県の尖閣諸島周辺の日本領海内で、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突し、中国人船長が逮捕された事件で、那覇地検は2010年9月24日、船長を処分保留のまま釈放すると発表した。

   石垣簡易裁判所は9月29日までの拘置延長を認めており、拘置期限まで5日残しての、突然の発表だ。「主権が危機に瀕している」などと与野党から批判の声が上がっており、抗議声明を出す与党議員も現れた。

中国に追いつめられた末の措置

   尖閣諸島の問題をめぐっては、以前も中国人活動家7人が不法上陸して逮捕されたことがあるが、「問題が日中関係に悪影響を与えないように、大局的に判断」(小泉純一郎首相=当時)した結果、沖縄県警が那覇地検に送検せずに、入管に引き渡した上で強制送還するという形で幕引きがされている。これに対して、地検は今回の釈放の経緯について、「今後の日中関係を考慮した」とまで説明しており、前回に比べて追いつめられた末の措置といえる。

   那覇地検は釈放決定について記者会見を開き、その中で「わが国の国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」と説明。検察が容疑者の処遇の理由として国際関係を挙げるのは極めて異例だ。

   尖閣諸島をめぐっては、04年にも中国人が身柄を拘束されたことがある。04年3月24日朝、中国人活動家が、尖閣諸島・魚釣島に上陸。沖縄県警は同日午後になって、7人を出入国管理法違反(不法入国)の疑いで逮捕した。島に焼かれたような跡などがあったことから、県警は器物損壊容疑などで立件する方針だったが、3月26日になって方針を転換。県警は「不法滞在の外国人は、出来るだけ国外退去させるのが望ましい」という法務当局の見解に従い、7人の身柄を送検せずに福岡入国管理局に引き渡した。7人は同日午後、上海に向けて強制送還された。中国側が即時釈放を繰り返し求め、中国国内では日の丸を焼くなどの抗議行動がエスカレートしていたことを受けての「スピード解決」だった。

   小泉首相(当時)は、この判断について、同日の記者会見で

「法に基づいて適切に処理するということで対処してきたし、同時にこの問題が日中関係に悪影響を与えないように、大局的に判断しなければいけない。そういう基本方針に沿って関係当局に指示している」

などと説明。国内からは、特に大きな批判の声があがることはなかった。

   だが、今回は、現地で準大手ゼネコン「フジタ」社員4人が拘束され、ハイテク製品に不可欠な「レアアース」の輸出が停止されるとも報道されている。いわば「人質」を取られているとも言える状況での釈放だ。

   特にレアアースの生産は、中国が世界シェアで97%と圧倒的だ。ネオジムやディスプロシウム、セリウムといったレアアースは、ハイブリッドカーや液晶テレビ、携帯電話、冷蔵庫にエアコンなど、さまざまな製品に使われている。これらの輸出が差し止められることは、国内のハイテク産業への打撃につながるのは必至だ。

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