2024年 4月 18日 (木)

「失言」止まらない民主党 今度は中井前大臣の「皇室へ非礼発言」

   民主党の今度の「失言」は、皇室が関係する内容だった。同党の中井洽・前国家公安委員長が国会で来賓の秋篠宮ご夫妻に「やじを飛ばした可能性がある」として、自民党は中井氏の処分を求めた。失言による法相辞任など、民主政権は失言の連鎖で崩壊寸前の様相をみせている。

   自民党は2010年12月1日午前、衆院議院運営委員会理事会で、中井氏を処分するよう要求した。中井氏が、国会内で秋篠宮ご夫妻にやじを飛ばした可能性がある、と指摘している。新聞社などの報道をみると、1日段階でも中井氏の名前を伏せている社と出している社があり、対応は分かれている。

「『早く座れよ』と野次を飛ばす始末」

「失言」続きの民主党。菅首相はどう対処するのか。
「失言」続きの民主党。菅首相はどう対処するのか。

   発端のひとつは、参院本会議場で2010年11月29日にあった議会開設120年記念式典での様子を桜内文城参院議員(みんなの党)が翌30日朝更新したブログで報告したことだ。桜内氏は、野次発言者について「ある民主党ベテラン議員」とぼかしている。

   発言があったとされるのは、「秋篠宮殿下御夫妻が議場に入られた後、天皇皇后両陛下の御入場をお待ちになる間、ずっと起立されていた(当初の式次第では着席されることとなっていた)」ときのことだ。

   桜内氏は「報道されてはいませんが」とことわった上で、「ある民主党ベテラン議員」が「『早く座れよ。こっちも座れないじゃないか』と野次を飛ばす始末」と明かした。「同じ国会議員として、とても恥ずかしく思います」とも書いている。

   また、ほどなく更新したブログで「議場に響き渡るような大きな声のヤジではありませんでしたが、(略)みんなの党の同僚議員も確かにそのヤジを耳にしていますし(略)」と追加報告した。

   桜内氏のブログ報告などを受けたマスコミからの取材に対し、中井氏は「『早く座らないとだれも座れないよ』と言ったかもしれないが、秋篠宮さまに向けて言うはずがない」(12月1日付産経新聞朝刊、中井氏の名前を出して報道)、「隣の人に式次第を見せて『着席と書いてあるよな。お座りにならないのかな』と話した。ヤジではない」(1日付朝日新聞朝刊、中井氏の名前は出さず)などと回答している。

   一方で、FNN(フジテレビ系)が11月30日夜に中井氏の名前を伏せて報じた際には「この民主党議員は、FNNに対し、『取材には答えない』と話している」と伝えていた。12月1日午前の衆院議運理事会では、民主党側は「立たせていてはご夫妻に失礼ではないか」という趣旨の発言だった、と「早く座れよ」発言を否定した。

「菅政権のほころびを象徴する出来事」

   衆参両院がサイトで公開している記念式典の映像をみてみた。秋篠宮ご夫妻のご入場後、しばらく国会議員らが立ったままの状態が続く。約2分後、メガネや髪型などからみて中井氏と思われる、前から6列目ほどにいる人物が右隣の男性に式次第とみられる紙を持ち上げながら話しかけ、右手で一瞬、正面を指さすようなそぶりをみせた。その際もその後も、ヤジのような音声は聞こえなかった。カメラのフラッシュ音や咳払いの声は聞こえており、そんなに大きな声での発言ではなかったようだ。

   中井氏は結局、どう説明するのだろうか。中井氏の国会事務所と地元の三重県津市の事務所に12月1日午後に数回ずつ電話したが、毎回通話中の状態だった。桜内氏の国会事務所によると、桜内氏がブログで同発言を取り上げた11月30日の昼ごろからは夕方まで、「ひっきりなし」に電話がなった。12月1日には少なくなった。

   内容は、発言者は誰なのかという質問と「良く言ってくれた」という応援が大半だったという。「国会でのヤジは問題ない」という批判もわずかながらあったそうだ。

   今回の失言騒ぎについて、元共同通信編集局長・元ニュースキャスターで近著に「小沢一郎 50の謎を解く」(文春新書)がある後藤謙次さんにきいてみた。

   後藤さんは、中井氏発言の正確な内容はよく分からない段階だが、と断った上で「菅政権のほころびを象徴する出来事だ。一連の失言続きと軌を一にしている」と指摘した。緊張感に欠け弛みを感じるという。

   柳田稔・前法相の失言による辞任に続き、失言だけの要因でないが仙谷由人官房長官らへの問責決議案が可決された。仙谷長官にいたっては、記者会見での発言を巡り、「侮辱された」とする自民党の丸山和也参院議員から提訴された。菅政権は、失言だけでなく、内政・外交ともに難局を抱えており、展望が開けない状況だ。12月1日付の読売新聞朝刊によると、小沢一郎・元民主党代表は、社民党幹部らと11月29日夜に会食し、「首相交代の可能性に言及した」という。

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