2024年 4月 18日 (木)

高橋洋一の民主党ウォッチ  
「年金救済」騒動が浮き彫りにした 民主党のあきれた「無知」ぶり

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「知らなかった」のお粗末

   当時の関係者から聞いた話によれば、厚労省役人から「法改正でなく課長通達でできる」という説明があったようだ。同時に、厚労省役人は「法改正では時間がかかる」といっているが、これは法改正が必要なことを暗黙に認めている言い方だ。憲法を破ってまでもできるという役人の説明も笑止千万であるが、それを信じた当時厚労相だった長妻昭氏を含む政務三役のほうも間抜けだ。ちなみに細川現大臣は当時、厚労副大臣だった。

   長妻氏は「やむを得ない判断だった」と説明したが、行政府で判断してはいけない問題ということが分かっていなかったことを白状したようなものだ。

   さらに、細川厚労相は当時担当ではなかった(労働担当の副大臣だった)ので知らなかったといったが、課長通達が資料として配布された会議には出席していたので、これもお粗末な話だ。

   一方、課長通達でやるという方針を大臣らが決めたとき、役人のほうから当時の大臣、長妻氏に対して、憲法違反なのでできませんと言わなければいけなかった。

   3月9日の参院予算委員会で、今回の課長通達は違法ではないかと問われて、細川厚労相は違反でない、片山善博総務相はグレーゾーンだと答えた。まったく答弁になっていない。憲法第85条を両大臣に国会で読み上げさせればいい。

   いずれにしても、民主党がこんな体たらくでは、政治主導をやろうにもできないのが、誰の目にも明らかになった。もし正しい判断による政治主導に基づき救済策を法改正で行っていれば、こうした事態が放置されていた原因は自民党政権の時であるといって攻め、法改正の審議拒否はできないはずだと、民主党の得点にできたはずだ。

   それを自らのミスで相手につけ込むスキを与えるところに、今の民主党の情けなさが集約されている。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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