震災と日本人 倫理学者 竹内整一 
連載(4) なぜ日本では略奪・暴動が起きないのか

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「極限的な状況のもとでも、静かに整然と秩序を守る日本の人びとを、今回はじめて中継で見てたいへん感服しすばらしいと思いました」。「20名の中国人を助けて自分は死んでしまった女川町の佐藤さんという方が、今中国では英雄になっているが、日本に行ったらぜひありがとうと伝えてくれと言われた」――。

   震災復興・原発問題について論じられた3月26日深夜の「朝まで生テレビ」での、中国の起業家・宋文洲さんの発言である。

   「商店の襲撃や救援物資の奪い合いが見られず、市民が苦境に耐えていたことに感嘆」、「日本の人々には真に高貴な忍耐力と克己心がある」(NYタイムズ)、「他の国ではこんなに正しい行動はとれないだろう。日本人は文化的に感情を抑制する力がある」(BBCワールドニュース)等、海外メディアからの同じような「驚きと称賛」は、早くから報道されてきた。

   むろん、そうでないこともあるだろうし、また、被災が長期化すればさまざまに混乱も出てくるだろうが、ともあれ、このような多数の共通したまなざしがあるという事実を、日本人として誇りをもって被災地の皆さんと共有していきたいと思う。

大いなる宇宙・自然を受け止める精神伝統

   阪神淡路大震災のときも、同じような報道がされ、当時、韓国「朝鮮日報」が、暴動も略奪も起きず身を寄せ合って整然と受けとめていたのは、日本人が「和の精神」を学んでいるためだと報じる記事を読んだことを印象深く覚えている。

   「朝鮮日報」は、以上のような振舞いを、「私」の欲望を抑えて「和をもって貴しとなす」という、聖徳太子の「十七条憲法」以来の精神伝統と理解したということであろう。そう考えることもできるし、またあるいは、事に当たってはつねに全力・純粋に関わろうとする「古事記」以来の「清き明(あか)き心」の精神伝統――それは中世では「正直(せいちょく)」、近世では「誠」、近現代では「真面目」として受け継がれてきた――とも考えられるし、さらには、武士道に代表される、死をも顧みず置かれた場や人間関係に関わろうとする「名」「恥」の精神伝統などを見いだすこともできるように思う。

   いずれも今あらためて考えておきたい精神伝統であり、このコラムでもそれぞれ個別に取りあげていきたいと思っている。が、一点だけ大切なことを確認しておくと、それらのいずれの考え方の根底にも、大いなる宇宙・自然の「おのずから」の働きといったものが前提されており、それをきちんと受けとめるところに、そうした、いわば「無私」の精神伝統が語られてきたということである。


##プロフィル 竹内整一 たけうち・せいいち/鎌倉女子大学教授、東京大学名誉教授。日本倫理学会会長。1946年長野県生まれ。専門は倫理学・日本思想史。日本人の精神的な歴史が現在に生きるわれわれに、どのように繋がっているのかを探求している。著書『「かなしみ」の哲学』『「はかなさ」と日本人』『日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか』『「おのずから」と「みずから」』ほか多数。3月25日に『花びらは散る 花は散らない』を新刊した。
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