2024年 4月 24日 (水)

普天間配備に沖縄が猛反発 オスプレイは危険な飛行機なのか

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   沖縄の米軍飛行場(宜野湾市)への新型垂直離着陸輸送機「MV22オスプレイ」の配備計画をめぐり、地元は反対の姿勢を強めている。配備に向け動きが具体化する気配が日米政府に出てきたからだ。沖縄県側は「オスプレイは安全性に問題がある」と訴えている。

   「だめでしょ、ああいうしょっちゅう墜落してるような飛行物体は」。沖縄県の仲井真弘多知事は、以前からオスプレイ配備を牽制する発言を続けている。2011年5月30日には、「論外というしかない」と記者団に答えた。「6月の日米会談で、米側が配備方針を伝達する見通し」との報道を受けた反応だ。

開発段階で4回墜落、数十人の死者

オスプレイ配置問題を報じる朝日新聞と毎日新聞
オスプレイ配置問題を報じる朝日新聞と毎日新聞

   仲井真知事が指摘した「墜落」とは、オスプレイが開発段階で4回墜落し、数十人の関係者の死者が出ていることを指している。

   オスプレイは、輸送ヘリとプロペラ機を足して2で割ったような新型輸送機だ。飛行機のような翼があり、両端にヘリコプターのような回転翼がついている。回転翼が上を向けばヘリコプターのように狭い場所でも離着陸でき、前に向ければプロペラ機のように、しかもヘリコプターより速く進むことができる。

   普天間飛行場の中型輸送ヘリCH46(胴長で前後に回転翼)24機の後継機として、米海兵隊は2012年秋からオスプレイの導入を普天間飛行場で始める計画を公表している。沖縄では、もう5年以上前から導入反対の声があがっている。

   航空ジャーナリストの石川潤一さんによると、オスプレイは海兵隊仕様が「MV22」で、空軍特殊部隊仕様が「CV22」として2007年から実戦配備されている。開発時の事故原因は「徹底的に検証」されているため、石川さんは「危険な新型機」とはみなしていないそうだ。

   実戦配備後は、2010年春にアフガニスタンで「CV22」が夜間着陸に失敗し死者が出た例がある。原因は確定していないが、回転翼で砂塵を巻き上げ暗視ゴーグルなどの視界を失った「操縦ミス」とみられている。旧来型のヘリ操縦でも起こる事故であり、新型機の「設計ミス」ではない、というわけだ。

ヘリ墜落事故の記憶

   それでも地元には不安が広がる。沖縄県基地対策課や普天間飛行場がある宜野湾市の基地渉外課によると、オスプレイ配備に反対する主な理由は、市街地が近く危険だとされる普天間飛行場に、開発時に墜落が相次いだオスプレイを配備することは、危険を増幅する懸念があるということだ。

   地元が「墜落」に神経質になるのも無理はない。宜野湾市の沖縄国際大に2004年、米軍大型輸送ヘリが墜落、炎上したことがあるからだ。ヘリ乗員以外にけが人は出なかったが、周囲に大きな不安を与えた。普天間飛行場に配備されたヘリで、飛行場から約300メートルの距離だった。

   両課によると、騒音問題については、情報がはっきりしない。「飛行機モード」の際は音が小さくなるので、市街地上空飛行時の騒音は低下するとの指摘もあれば、ヘリより音が大きく騒音問題は深刻化すると話す専門家もいる。いずれにせよ、政府からは何の説明もないため、騒音増大について市民らの間に大きな不安があるのは間違いない。

   もちろん、普天間飛行場移設問題で、沖縄内移設となる辺野古案が暗礁に乗り上げる中、普天間機能を強化する形の新型機配備を認めるわけにはいかないという思いも地元にはある。

朝日新聞に「報道機関としての責任を全うしていない」

   オスプレイ普天間配備計画に関連し、朝日新聞は5月31日付朝刊1面(東京最終版)で、「防衛相、沖縄側へ通知」との見出しで、計画受け入れの考えを伝えたことを報じた。31日の会見で、北沢俊美防衛相は、「一部報道」に対して次のように反論した。

――まったくそういうことはありません。その一部報道は、記者から確認の電話がありましたけれども、まったく事実に反しているので、そういうことはないと申し上げたにもかかわらず、ああいう記事が出るというのは、大変迷惑な話であるし、(略)。私が否定したということをわざわざ申し上げたのに、そのことには触れていないことも、報道機関の一員としての責任を全うしていないのではないかと思いますし、非常に遺憾である――

   勇ましくマスコミに反論した北沢防衛相だが、地元の不安を受け配備について米側へ反論する気はないようだ。米軍の内の「装備一部更新」なので、「(防衛・国防担当)大臣同士で話をするような話ではない」との考えも同じ会見で示している。沖縄県内のある自治体関係者は、こうした政府の姿勢に苛立ちをみせていた。

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