野田新代表の「演説力」はピカ一 ジョーク交え「夢、志、人情」訴える

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   「演説の野田」――そんな異名を取るほど、このたび民主党新代表に選ばれた野田佳彦・財務相はスピーチ巧者として知られている。2011年8月29日の代表選でも、ジョークを交えた演説で、重い雰囲気の会場を沸かせた。

   2004年の民主党代表選では前原誠司・前外相が自らの生い立ちを語る「名演説」で、僅差の勝利をモノにしたと言われる。野田新代表の「演説力」は、果たしてどれほどのものなのか。

「駅前演説の野田」の異名も

当選後、新代表として演説に臨む野田佳彦財務相
当選後、新代表として演説に臨む野田佳彦財務相
「農家の末っ子同士の間に生まれた子どもが、私です。選挙区が都市部なのにシティーボーイに見えないのは、そのせいかも知れません」

   投票前に行われた演説の冒頭、野田財務相は自らの外見をネタに、早速会場の笑いをとってみせた。15分間の演説では、裕福とは言えない生い立ちから、無名だった県議時代の苦労、浪人時代に中小企業の経営者らから支援を受けた思い出などを、司馬遼太郎などの時代小説や相田みつを、7月に直木賞を受賞したばかりの小説『下町ロケット』などにも言及しつつ語り、政治に「夢、志、人情」を取り戻すことを訴えた。

   政治評論家の有馬晴海さんによれば、「もともと野田財務相は、『駅前留学のNOVA』をもじって『駅前演説の野田』と言われるぐらいに演説が上手いことで知られている」。今回の演説も言葉遣いやジョークなど巧みなものではあったとしつつ、演説の内容自体は「あまり高く評価できない」と語る。

「野田氏は『文藝春秋』で『大増税・大連立』の政権構想を表明していたが、党内からの反発にあってトーンダウンせざるを得ず、今回の演説は党内全体に迎合して裾野を広げたなんとなく中身がないものになってしまった」

   その上で有馬さんは今回の当選は、「民主党が一緒になってやっていくための代表としては、野田財務相が一番良かったということだろう」として、その融和的な姿勢や人柄が、対抗陣営にも受け入れられた結果だろうとも分析している。

表情に躍動感が欠けるところが欠点

   『話し方のルール』などの著書があるスピーチトレーナーの高津和彦さんは、野田財務相の演説を「スピーチとしては80点~90点の出来」と評価する。自らの生い立ちや失敗談も盛り込み、固有名詞なども多数散りばめるなど、「台本だけなら100点と言ってもいい」という。

   しかし一方で、

「動いているのはほとんど口周りだけで、表情に躍動感に欠けるところがあります。ジェスチャーも小さく、自然に出ているという感じではない。また語尾に『思います』というものが多く、今ひとつ思いの強さが伝わってきません。声のボリュームを上げることでカバーはしているのですが」

として、テクニックの奥に「地」のやや「小心」なところが覗いていると分析する。

   高津さんに野田新代表への「アドバイス」を尋ねると、

「『躍動しろ』、そうしたらもっとファンが増えます。表情が豊かだとそこに人間味が現れ、より多くの人を惹きつけることができます」

と話した。

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