2024年 4月 25日 (木)

韓国、台湾など周辺国と国際電力網構築 再生可能エネルギーの利用拡大も目指す

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   前岩手県知事で元総務相の増田寛也氏を座長とする有識者や経済人らのグループ「日本創成会議」がこのほど、電力の安定供給を図りながら再生可能エネルギーを活用するため、韓国や台湾など周辺諸国と送電網を結ぶ「アジア大洋州電力網(エネルギー版TPP)構想」を発表した。

   欧州が国境を越えた送電網を整備し、風力発電などを導入しながら電力を相互融通している先例をモデルにしたもので、民間主導のプロジェクトとして実現を目指すという。

欧州では北海周辺の10カ国が国際電力網を整備

   東京電力の原発事故をきっかけに、日本でも欧州並みに風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーを増やすべきという世論が高まっているが、電力会社や経済産業省は「供給の不安定さ」を理由に、利用拡大に慎重な姿勢を示している。今回の提言は、その供給不安定さを克服する具体的な切り札として注目される。

   もしも、日本が韓国や台湾だけでなく、フィリピン、インドネシアはじめアジア諸国や豪州などと送電網で結ばれたとしたら、どんなメリットが生まれるか。仮に日本が雨天や無風で太陽光や風力発電ができない日でも、海外のどこかで日が照り、風が吹いていれば、その電力を日本が利用することが可能となる。

   事実、欧州は北海周辺の10カ国が洋上風力、波力などを利用する国際電力網を整備しているほか、ドイツを中心にサハラ砂漠で太陽光発電を行い、欧州に供給する計画が進行している。

   もちろん、日本が海外と送電網を構築するには、コストがかかる。しかし、意外にもそのコストは「あまり高くない」(増田座長)という。欧州を視察した増田座長によれば、海底ケーブルによる送電線の敷設コストは「1キロメートル当たり1億円ちょっと」だという。このため、「韓国までなら200億円から300億円くらいで実現できる」という。

近隣諸国との接続は2020年代が目標

   将来的に豪州まで引くとなると、10兆円から20兆円になる計算だが、近隣諸国との接続は2020年代、豪州との接続は2050年が目標。増田座長は「財政資金を使わず、将来のイノベーションへの期待を取り込むことで、ビジネスとして投資を呼び込みたい」としている。

   問題はむしろ、日本国内の電力会社が独占的に保有する送電網との接続かもしれない。提言は、「国際電力網を構築し、日本が参加するためには(国内の)発送電を分離すべきで、東西周波数の統一も必要となる」と指摘している。

   日本の電気料金についても「海外に比べ高止まりしており、競争力ある水準に引き下げることも重要な課題」と苦言を呈し、「日本の電気料金は総括原価方式で計算されており、電源ごとの価格は明確でない。市場を通じた価格決定メカニズムも機能していない」と、現行システムを改めるよう求めている。

   同会議は増田氏のほか、富士通相談役の秋草直之氏、ウシオ電機会長の牛尾治朗氏、ローソン社長CEOの新浪剛史氏、連合会長の古賀伸明氏、前外務事務次官の藪中三十二氏、中央大学法科大学院教授の野村修也氏ら各界の14人をメンバーに2011年5月、発足した。日本生産性本部が事務局で、エネルギーなど今日的なテーマについて調査・研究を進め、政府などに提言していくという。

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