2024年 4月 25日 (木)

大不漁でうなぎ高値必至 「1人前1万円」もある?

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   うなぎの稚魚の「シラスうなぎ」が3年連続の不漁で、養殖うなぎの相場が1キロあたり5000円超と平年の2倍超に高騰している。

   水産庁によると、稚魚を育てる「池入れ量」(輸入分を含む)は2012年4月25日現在で15トン。年間の必要量は約20~25トンで、不漁とされた11年の最終量(4月末)が19.9トン、10年最終量が21.7トンだったので、かなり少ない。「3年続きの不漁」というが、12年は「最悪」の状況のようだ。

すでに一部で2~3割の価格上昇

   日本のうなぎ消費量は年間6万~8万トン程度とされる。ただ、天然うなぎはほとんどなく、4万~5万トンを中国と台湾からの養殖うなぎが占める。

   稚魚のシラスうなぎの漁期は毎年12月から翌年4月末。2012年の漁もまもなく終わりだが、それにもかかわらず「池入れ量」が15トンしかない。前年も「不漁」だったことから、早くも「土用のうなぎ」はもう庶民の口には入らないのではないか、と心配されている。

   漁獲量が減れば、価格も高騰する。日本養鰻漁業協同組合連合会(日鰻連)によると、シラスうなぎは現在1キロあたり87万~100万円で取引されている。それだけでも平年の約2倍の高値だが、「取引によっては250万円もするケースがある」とし、高値とされた前年をもさらに上回る高値で取引されている。

   「生産者にとっては、シラスうなぎで1キロ50万円程度、成魚で1キロ(5匹もの)2000円前後が妥当な価格とみています。そのくらいが消費者にも手ごろな値段で食べてもらえる。しかしいまの価格では売れませんし、それこそ一人前1万円では食べてもらえません。いいことなどないですよ」と、窮状を訴える。

   うなぎの価格は基本的には成魚の需給バランスによる。漁期は毎年4~6月まで続くが、これから水揚げが増える可能性はあまり見込めない。「ここ数年は稚魚の不漁と、うなぎの成魚の価格が連動するようになった」(日鰻連)ためだ。

   10~11年の稚魚の不漁がすでに成魚の価格に影響して、蒲焼店やスーパーなどに並ぶうなぎの価格は一部で2~3割上昇している。「土用の丑の日」が近づくにつれて、うなぎの値段が上昇することは避けられそうにないようだ。

フィリピン近海にいる可能性もある?

   それにしても、もう少し「安く」うなぎを食べることはできないのだろうか――。水産庁は、「日本の稚魚の輸入は香港からが多いのですが、今年は輸入を含めてアジア近隣はどこへ行っても獲れない状況で、まったくといって手の打ちようがないようです」と、あきらめ顔だ。

   「なぜ、不漁なのか」との問いに、水産庁は「原因はわからない」としている。しかし、「可能性としては、乱獲や親うなぎが生息する河川の環境悪化や、地球規模の海洋環境の変化が考えられています」と説明する。

   そして、こう付け加える。

「ただ、この3年で急にいなくなることもおかしいですよね。あくまでも仮説ですが、シラスうなぎは太平洋マリアナ諸島沖、フィリピンの近郊で生まれて、黒潮に乗って日本近海まで北上してきます。それが何らかの事態があって北上しなくなったのではないかとも考えています」
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