「最低賃金撤廃」「解雇規制の緩和」 「維新の会」公約は「暴論」なのか

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   日本維新の会が衆院選の公約を発表した。この中に「解雇規制の緩和」「最低賃金制の廃止」が盛り込まれていたため、インターネット上で物議をかもしている。

   「明らかにおかしい」「企業がありがたいだけ」と批判的な意見が多く見られるが、雇用される側のメリットはあるのか。

「ブラック企業が大量に出現するな」と嘆く

日本維新の会が発表した「骨太2013-2016」
日本維新の会が発表した「骨太2013-2016」

   日本維新の会が2012年11月29日に発表した「骨太2013-2016」は、橋下徹代表代行が中心となってまとめた「維新八策」の理念を政策面から再整理し、作成したという。「経済・財政を賢く強くする」の項目で、「労働市場を流動化させる」と掲げられており、その政策実例の一部として解雇規制の緩和、さらに最低賃金制の廃止と、給付付き税額控除など「負の所得税」の考え方で一定の所得を保障することがセットで記されている。

   橋下代表代行は11月29日の記者会見で、細かい数値目標や工程表は示さず、「行政官僚では絶対できないポイントをまとめた」と説明した。

   最低賃金は法律で保障されており、都道府県ごとに定められた地域別最低賃金と、特定の産業を対象に定められたものの2種類がある。厚生労働省によると地域別最低賃金は、時給で見ると北海道は719円、東京は850円、沖縄653円といった具合だ。また、経営不振を理由に社員を整理解雇する場合は、人員整理の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、手続きの妥当性の「4要件」を満たさない限りは不当解雇とされる。

   労働者を守る、この2つの言わば「最後の砦」を、日本維新の会は崩そうとしている――。ネット掲示板で波紋が広がった。「時給300円とかで働かせるのか」「背筋が凍る」と恐れおののく声、「二束三文でぼろ雑巾みたいに使われて、昇給の頃にクビ」というのもありえるのではと考え、「ブラック企業が大量に出現するな」と嘆く人もいる。民主党の野田佳彦首相は街頭演説で、「驚いた。デフレのときに最低賃金すら撤廃したらおかしい」と維新を批判した。

   ただよく読むと、単に最低賃金を廃止するだけでなく「負の所得税の考え方で一定の所得保障」という補足がある。ネガティブな部分だけが独り歩きしている感は否めない。人事コンサルタントの城繁幸氏はJ-CASTニュースの取材に、「維新の公約のように、最低賃金を撤廃して、生活のための最低限の保障を公的に行うのは北欧をはじめ、先進国のトレンド。出てきてしかるべき政策です」と話す。

主要メーカー30社中15社が「雇用維持難しくなる」

   長引く不況下で、経営者が最低賃金を支払い続ける余裕がなくなれば、該当する従業員を継続して雇い続けるのは違法となるので解雇せざるを得ない。経営側は安い労働力を求めて海外進出するか、体力がなければ廃業することになろう。一方、国内の労働市場は雇用が減って失業者増につながり、それに伴って生活保護の受給者も増大するに違いない。

   いっそ最低賃金の枠を外せば、低賃金ではあるが仕事は増える。もちろん劣悪な雇用条件を放置するのではなく、低額の業務の場合は公的な経済的補助を設けることで一定の収入を約束すれば就業者が増える半面、「生活保護に頼る人も減るでしょう」と城氏。

   朝日新聞電子版によると、橋下代表代行は11月30日、報道陣に対して最低賃金制の廃止は雇用の創出がねらいだとして、「ハードルを課せば、最低賃金を出せない企業や、本当ならあと2、3人雇えるのに1人しか雇えないという企業もある」と語ったという。国による保障については、所得税を免除し、国が一定額を給付する考えを示した。

   解雇規制の緩和についても城氏は、「その必要性を認めている政治家は少なくありません」と言う。今回の衆院選では維新以外にも、みんなの党が「アジェンダ」の中で「正社員の整理解雇に関する『4要件』を見直し、解雇の際の救済手段として金銭解決を含めた解雇ルールを法律で明確化する」と掲げている。自民党は今回公約に入れていないが、2010年の参院選では、解雇規制の緩和や、企業が「柔軟な経営」を行える環境を整備して企業を持続させ、雇用の安定につなげると主張していた。

   NHKは11月30日、国内自動車とエレクトロニクス関連メーカー30社に実施したアンケート調査を発表した。国内の雇用の維持が「難しい」「このままでは難しくなる」と答えた企業が、全体の半数にあたる15社に上ったという。雇用を守るために必要なこととして、「円高対策」が15社、「国内の需要を喚起する対策」が10社で、これに続いたのが「より柔軟な労働形態」の6社だった。

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