2024年 4月 26日 (金)

中国監視船が尖閣で日本の漁船追跡 「追い払いに成功」と勝利宣言

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   沖縄県の尖閣諸島周辺に中国船が領海侵犯を繰り返すなか、中国側が従来よりも「1段階上」の対応を見せた。中国船が日本の漁船を追いかけた上、中国当局はウェブサイトで「日本の権利侵害船の追い払いに成功」と発表した。

   尖閣諸島の周辺海域は日本が実効支配しているはずだが、形勢が変わりつつある。

「どんなことがあっても臨検や拿捕を受けない、逃げる」

中国国家海洋局のウェブサイト。写真つきで「日本の権利侵害船の追い払いに成功」とうたっている
中国国家海洋局のウェブサイト。写真つきで「日本の権利侵害船の追い払いに成功」とうたっている

   今回の中国側の領海侵犯のきっかけになったとみられるのが、政治団体「頑張れ日本!全国行動委員会」(田母神俊雄会長)が2013年4月22日から25日にかけて尖閣諸島で企画した「集団漁業活動」。同委員会は12年8月にも尖閣諸島で集団漁業活動と洋上慰霊祭を行い、一部メンバーが魚釣島に上陸したことでも知られている。

   同委員会がユーチューブで公開している動画によると、「日本文化チャンネル桜」社長としても知られる水島総幹事長が4月22日、羽田空港でメンバーを前に、

「中国船が来るかも分からない。皆さんそれぞれ(複数の漁船に)分乗するが、どんなことがあっても臨検や拿捕を受けない、どんなことがあっても逃げる、ということはちゃんとやらないといけない」

と、中国側の動きに警戒するように呼びかけた。

   この水島氏の発言は決して杞憂ではなかったようだ。翌4月23日には、12年9月の尖閣諸島国有化以降最多の8隻の中国の海洋監視船が領海に侵入。中国船が激しく日本漁船を追跡し、海上保安庁の巡視船が間に割って入る形で漁船を逃がす、といったこれまでにない光景が繰り広げられた。

日本漁船の行動を「権利侵害行為」だと断じる

   中国側の反応も、これまでにないものだった。

   中国の海洋監視船を派遣した国家海洋局は、2度にわたってウェブサイトに声明を掲載。最初の声明では、

「4つの編隊に分かれて、異なる方向から日本の権利侵害行為に対して監視、証拠収集を行い、権利保護を執行した」

   日本漁船の行動を「権利侵害行為」だと断じた上に、漁船を追跡したことを「権利保護」だと主張した。日本側の漁船が尖閣周辺の海域を離れると、中国側は領海侵犯を続けた状態で「日本の権利侵害船の追い払いに成功」と題した2回目の声明を発表。その内容は、

「中国海監の権利保護の法律の執行行動は、日本右翼分子の企てを力強く粉砕した。現在、中国海監の船隊は、引き続き尖閣諸島の領海内の巡航、監視を行っている」

と、かなり強気だ。

   結局、中国船は19時半頃まで約12時間にわたって領海内にとどまった。

   中国外務省の華春瑩報道官も4月23日の会見で、

「日本の右翼勢力が尖閣諸島の海域に不法侵入し、騒ぎを起こした」

と非難した。

中国側が日本側に抗議と主張

   中国大使館のウェブサイトには、外務省の河相周夫事務次官が程永華駐日大使を呼んで抗議したことに対する見解が掲載されている。その中でも、

「程大使は日本の右翼の船と海上保安庁の巡視船が中国領海に不法に進入し、中国の主権を侵害したことに強く抗議し、日本側のすべての船が直ちに関係海域から離れることを要求した」

と、逆に中国側が日本側に抗議したことが明かされている。

   菅義偉官房長官は4月24日午後の会見で、

「(日中)両国の防衛当局間で冷静な対話を進めて、防衛交流を安定的に継続・推進することが両国の信頼関係の強化と防衛政策等の透明性の向上(につながる)。そういった観点から(対話が)必要だと考えている。日中間の防衛当局の交流を実施すべく、中国側と調整をしている」

と述べ、防衛当局の局長級協議が近く開催されるとの見通しを示した。偶発的な衝突など不測の事態を避けることが目的だが、中国側の攻勢に、落としどころはまったく見えていないのが現状だ。

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