2024年 4月 24日 (水)

「セクハラ疑惑」で更迭の韓国大統領報道官 メディアとの「対決姿勢」で評判悪かった

   訪米した韓国の朴槿恵大統領に随行していた報道官が更迭され、日程の途中で帰国した。セクハラが原因ではないかとの声が高まっている。

   この人物、報道官でありながらメディアとの関係は良好とはいえなかったようだ。資質が疑問視されていた報道官による「セクハラ疑惑」。朴大統領の政権運営に影響が出るのか。

短気な性格、気に入らない質問が出ると取り合わない

   複数のメディアによると、韓国大統領府は日本時間2013年5月10日、朴大統領に随行して訪米していた尹昶重報道官が更迭されたと発表した。米国滞在中に「不適切な行動がみられ、国家の品位を傷つけた」との理由だ。韓国主要紙の中央日報電子版(日本語)によると、朴大統領は9日、最後の訪問地であるロサンゼルスに到着したが、同行しているはずの尹報道官の姿はなかったという。実は朴大統領らとは別に、既に韓国に帰国していたようだ。

   「不適切な行動」の具体的内容は明かされていないが、韓国・聯合ニュース(英語版)などは「セクハラの疑い」と報じている。今回の訪米期間中、尹氏が在米韓国大使館の実習生に対してとった行為で、相手は20台前半の女性と伝えた。事実だとすれば大スキャンダルだ。

   朴大統領には2人の報道官がついており、そのひとりが尹氏だった。閣僚ではないが、政府高官であることに変わりはない。

   尹氏はもともと、韓国の放送局「KBS」のリポーターで、日刊紙「文化日報」の編集委員を務める。政治コラムを執筆し、その保守的な言論で知られていた。J-CASTニュースがソウル在住の韓国人ジャーナリストに聞くと、朴大統領が尹氏を報道官に起用したのは「驚きだった」という。短気な性格で報道陣に対して友好的でなく、個人的に気に入らない質問が出ると取り合わないようなところがあったそうだ。記者によっては「対決姿勢」をとり、そのため評判はあまり芳しくなかったと話す。

   朴大統領から報道官に指名された際、それまでの「超保守」としての発言が野党側から批判され、資質を問う声が上がった。2012年12月26日付の中央日報電子版(英語)によると、朴大統領と大統領選を争った文在寅氏や、途中で出馬を断念した安哲秀氏を、自身が執筆するコラムで「なんでもありの政治屋」「ずるい人物」などとののしっていた。そのため報道官就任後初の会見で尹氏は、この内容の謝罪を余儀なくされた。

全閣僚の任命完了が政権発足52日目だった

   現時点で、尹氏の解任理由がセクハラなのかは不明だ。尹氏本人も今のところ一切発言しておらず、真相解明にはもう少し時間がかかりそうだ。

   朴大統領にとっては、批判を押し切って起用した尹氏の「不始末」だけに頭が痛い。実は朴大統領は当選後の組閣人事で、自ら選んだ閣僚候補が相次いで辞退した経緯がある。過去の不祥事が次々に明るみに出たためで、朴大統領の人選が疑問視された。政権発足から52日目となってようやく、すべての閣僚の任命にこぎつけた。

   尹氏の更迭劇が、朴政権にとって悪影響なのは間違いないが「それほど大打撃にはならないだろう」というのが前出の韓国人ジャーナリストの見解だ。記者たちにとっては「もともと尹氏は報道官として最適でないと感づいており、今回の解任も不思議な出来事ではなかった」というわけだ。とはいえ、その理由がセクハラという「犯罪行為」となれば、報道官としての適性以前の問題となる。政権に対するイメージダウンは避けられず、朴大統領自身の任命責任を問う声が高まりそうだ。

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