2024年 4月 20日 (土)

麻生氏「ナチス発言」、揺れる大手新聞報道 最初は問題視せず、後から大きく取り上げる

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   麻生太郎副総理の「ナチス発言」をめぐる騒ぎが止まない。2013年8月1日、発言は撤回されたものの、以後も国内、さらには海外メディアなどからも非難が殺到している。

   一方で橋下徹・大阪市長など、「全体の文脈を通して読めば、それほど問題発言ではない」という指摘も出始めた。また騒動の影で、第一報を伝えた新聞記事の「ナチス」見出しが、いつの間にか訂正されるなど、マスコミの「揺れ」も目立つ。

読売新聞の記事の見出しが訂正される

   麻生副総理は2013年7月29日、民間シンクタンク「国家基本問題研究所」主催の講演会に出席、その中で憲法改正について「ナチスに学べ」などと発言した――とされている。

   一方でこの講演会の模様は、30日の時点で毎日新聞を除く主要各紙(ウェブ版含む)がそろって報じたものの、朝日新聞、産経新聞では「ナチス」の部分は問題視しなかったのか、記事では一切触れていなかった。対して読売新聞および共同通信は「ナチス発言」を大きく取り上げ、

「ナチスの手口学んだら…憲法改正で麻生氏講演」(読売新聞ウェブ版、30日配信)

などと報じ、騒動の引き金を引いた。その後、各社はこれを後追いする形で発言を報道、海外メディアも巻き込んでの「総攻撃」を浴びる羽目になった。特にユダヤ人人権団体などが批判を始めると、各紙は大々的に「麻生叩き」に出た形だ。

   ところが、騒動が広がった31日深夜ごろ、いち早く発言を報じた読売新聞の上記記事の見出しが訂正されていた。8月2日現在、問題の記事にアクセスすると、

改憲「狂騒、狂乱の中で決めるな」…麻生副総理

と、「ナチス」を外した見出しとなっている。記事の内容には大きな変更はないようだが、これはどうしたことだろうか。

   これについて公式のアナウンスはなく、J-CASTニュースの取材に対しても、「個別の記事に関する取材活動や編集についてのご質問には、従来お答えしていません」(読売新聞グループ本社広報部)とだけ回答した。

   こうした報道の「ぶれ」に、ネット上では辛辣な声も少なくない。

「しかし慰安婦問題と言い、麻生のナチス発言と言い『海外の批判がないと対応が鈍い』日本マスコミには呆れる」
「呆れた 煽れるだけ煽ったタイトルつけて国際問題化って きっちり責任とれよな」

橋下市長から擁護の声も出始めた

   実際、麻生副総理の発言の詳細が伝えられ始めると、「ナチスに学べ」という取り上げられ方は恣意的なものではないか、という声も出始めている。同日の講演で麻生副総理は確かに「(ワイマール憲法はナチス体制に)誰も気が付かないで変わったんだ。あの手口学んだらどうかね?」と発言しているものの、しかしその前段では、

「きちんと、ワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきたんですから。常に憲法は良くても、そういったことはありうるということですよ」

と述べており、麻生副総理の言うとおり「悪しき例」として言及しているとも取れるためだ。発言の解釈をめぐってはさまざまな見方があるものの、橋下市長は1日、

「(発言全体としては)憲法という中でね、ナチス・ドイツというものが生まれてきた民主主義の経緯ってものがあるわけだから、きちんと憲法改正論議、心してやらなければいけないんじゃないか、というところが趣旨だったんじゃないですか。だからナチス・ドイツを正当化したなんて趣旨はなかったと思う」

と擁護、メディアの報道姿勢にも暗に釘を指した。

   もっとも、こうした橋下市長発言にもユダヤ人団体幹部からさらなる批判が寄せられている。麻生発言への風当たりはまだまだ激しさを増しかねない。

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