イプシロンは「ICBM」に転用できるのか? 韓国で「日本再軍備」に関連させた報道相次ぐ

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   韓国メディアが新型固体燃料ロケット「イプシロン」を「ICBM、大陸間弾道ミサイルへの転用が可能」として、日本の右傾化批判の材料にしている。

   朝鮮日報(日本語版)は2013年8月22日、「再武装を加速化させる安倍日本」の見出しで、日本が軍備強化を本格化させていると指摘。そのなかで、「イプシロン」ロケットもその一つとみている。

固体燃料ロケット「主にICBMに使われる」

「イプシロン」は、韓国で「兵器転用も可能」と報じられている。(写真は、宇宙航空研究開発機構の「イプシロン」特設サイト)
「イプシロン」は、韓国で「兵器転用も可能」と報じられている。(写真は、宇宙航空研究開発機構の「イプシロン」特設サイト)

   台風の接近などで夏休み中の打ち上げが困難になり、2013年9月1日に新たな打ち上げ期日が発表されることになった、新型固体燃料ロケット「イプシロン」。8月27日の発射中止は、お隣の韓国メディアも取り上げている。

   朝鮮日報(日本語版)は8月28日、「27日午後1時45分、鹿児島・内之浦宇宙空間観測所の発射台周辺では、全国から集まった見学者1万人が見守っていた。しかし、打ち上げ時間が過ぎてもイプシロンはピクリともしなかった」と報じた。

   たしかに、現地を訪れた見学者のみならず、多くの日本人が「イプシロン」の打ち上げの瞬間を見つめていたし、中止のアナウンスにがっかりしたことは間違いない。この日の夕刊は新聞各紙がイプシロンの中止を報じ、落胆した子どもらの声を拾っていた。

   ところが、韓国メディアの「イプシロン」の紹介はこうだ。

「イプシロンは日本の技術力を総結集して作られた最新型ロケット。大陸間弾道ミサイル(ICBM)と同じ固体燃料ロケットということで兵器転用も可能だ」(朝鮮日報)

   東亜日報(8月12日付)では、「日本が今回打ち上げる固体燃料ロケットは特殊車両にのせて移動でき短時間に発射できて主にICBMに使われる」と報じ、さらには日本の宇宙開発専門家、キム・ギョンミン漢陽大教授の分析として、「イプシロン程度の大きさの固体燃料ロケットはいつでも武器転用できる」とのコメントを載せた。

   日本の「イプシロン」ロケットの開発が、ミサイル兵器への転用を視野に入れているかのように伝えているばかりか、受け取りようによっては軍事利用を日本中が期待しているかのような書きっぷりなのだ。

イプシロンは「パソコン制御で、短時間に発射できる」

   韓国メディアの指摘どおり、イプシロンは「固体燃料」を使用する。日本ではイプシロンより前に、固体燃料ロケットは「M5」を開発していた。2006年、「はやぶさ」を搭載したロケットだ。

   しかし、打ち上げ費用がかかり過ぎるとの理由で、2006年に開発を中止。代わって、07年に開発に乗り出したのがイプシロン。宇宙航空研究開発機構(JAXA)はイプシロンを開発する過程で徹底したコスト削減を実施。打ち上げ費用はM5の約半分の36億円となり、そのコストは「まだ下げられる余地がある」(JAXA)という。

   ロケットに人工知能を搭載し、点検作業と管制業務を大幅に省力化。M5の打ち上げ時に45日間かかった発射準備作業を7日で終わるようにした。また、「モバイル管制」と呼ばれる、世界で最もコンパクト、かつ発射場に依存しない「革新的な管制システム」で動かせる。

   一方、大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、燃焼を終えたロケットエンジンを随時切り離し、弾頭だけが慣性により無誘導のまま飛行するミサイルで、いまや米国では固体燃料を使用したものが主流だ。固体燃料であれば、発射直前に燃料を充填する必要がないので発射までの時間が短い。構造が簡単なうえ、小型で安価なメリットもある。

   とはいえ、イプシロンが兵器として直ちに転用できるわけではない。ICBMとして使うには36億円ではまだ高価で量産できないし、発射まで7日でも時間がかかりすぎる。軽量化も必要とされる。

   韓国メディアは、イプシロンが固体燃料を使っている3段ロケットということをもって、「ICBMに転用できる」「再軍備だ」などと報じているようだが、そう簡単ではない。

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