2024年 4月 20日 (土)

安倍首相「『人間のくず』と報道されても気にしない」 日刊ゲンダイが応戦「一度も『くず』とは報じていない」「熟読を」

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   2014年2月12日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相の発言が議場の爆笑をさそう場面があった。NHK経営委員で作家の百田尚樹氏が、都知事選の応援演説で「人間のくず」などと発言した問題で野党から追及され、安倍首相が答弁で「ある夕刊紙は私のことを、ほぼ毎日のように『人間のくず』というように報道している」と珍しく自虐的なことを口にしたからだ。

   「ある夕刊紙」は日刊ゲンダイのことを指すとみられ、翌2月13日の紙面では「一度も『くず』とは報じていない」と微妙に反論。「細心の注意で熟読してもらいたい」と皮肉った。

安倍首相「私は別に気にしませんけどね」

安倍首相、「人間のくず」と言われても「私は別に気にしませんけどね」
安倍首相、「人間のくず」と言われても「私は別に気にしませんけどね」

   安倍首相の発言は、民主党の大串博志議員の質問に対する答弁で出た。百田氏が、自らが応援していた田母神俊雄氏以外の候補者について「人間のくず」と罵倒したことについて、大串議員が

「任命した総理として、何らかの責任を感じないのか」

と質した。それに対して安倍首相は

「『人間のくず』発言は、私が直接確認した訳ではありませんが、一部報道があることは承知しています。ある夕刊紙は私のことを、ほぼ毎日のように『人間のくず』というように報道していますが、私は別に気にしませんけどね」

と答弁。議場は笑いにつつまれた。ただ、答弁そのものは、

「その上においてですね、私は経営委員の発言等をひとつひとつ承知している訳ではありませんし、いずれにしても、経営委員が個人的に行ったものについて政府としてコメントすべきではない。このように考えているところでございます」

という内容で、これまでの政府見解を繰り返すにとどまった。

   安倍首相は「ある夕刊紙」と述べただけで、具体的な媒体名は口にしていない。首都圏で販売されている夕刊紙は、東京スポーツ・夕刊フジ・日刊ゲンダイの3紙。東スポの1面は芸能やスポーツ、夕刊フジは安倍首相を支持する立場で、韓国など近隣諸国の批判や経済関連記事が主に載っている。それに対して日刊ゲンダイの1面は、競馬の記事が載る日以外は連日のように政府批判が展開されており、安倍首相が日刊ゲンダイを念頭に置いているのは明らかだ。

日刊ゲンダイ「麻生副総理と同様、熱心な本紙読者として知られる安倍首相」

日刊ゲンダイの1月16日発行(17日付け)の1面。安倍首相について「彼は知性を持っているのか」と非難している
日刊ゲンダイの1月16日発行(17日付け)の1面。安倍首相について「彼は知性を持っているのか」と非難している

   この点は日刊ゲンダイも認識しているようで、翌2月13日発行の紙面では「愛読者の安倍首相 本紙を批判」と題した記事を掲載して「応戦」。

「どうも本紙を指しているようだ」「公人である百田氏の『くず』発言を笑いでゴマかすのには疑問が残る。もっとも、本紙は首相のことを『ボンクラ』『嘘つき』とは表現したが、一度も『くず』とは報じていない」

   このように、安倍首相への罵倒の中に「くず」という単語は入っていなかったとして、皮肉を込めながら熟読を求めた。

「麻生副総理と同様、熱心な本紙読者として知られる安倍首相。今後は2人一緒に細心の注意で熟読してもらいたい」

ここ1か月で「エヘラエヘラいい気に」「極端な低能さ加減」「誇大妄想の狂人の領域」

   もっとも、実際に日刊ゲンダイ紙面に掲載された表現はかなり過激で、「ボンクラ」「嘘つき」といった生やさしいものではない。ここ1か月の1~2面の見出しだけでも

「エヘラエヘラいい気になっているそのオメデタサが命取りになった愚の骨頂」(1月22日)
「2月9日安倍自民推薦候補が敗北すれば安倍首相は腹痛を起こして退陣に至ること必至と予測されている」(2月6日)

といった具合だ。中でも1月16日発行の紙面では、安倍首相が6月のワールドカップで対戦するコートジボワールのワタラ大統領との共同会見で、安倍首相が

「先ほど大統領に『この対戦する日の6月14日は私の母の誕生日なので、何とか考えていただけないか』と伝えた」

とジョークを飛ばしたことを「八百長まがいを持ち掛けたような下卑た下心の発言」と批判。見出しで

「冗談と笑えないバカ首相のアフリカ外交での言動 彼は知性を持っているのか」
「首相であるのが国民として恥ずかしいこの極端な低能さ加減」
「知恵の足らない男ほど大言壮語するのが常だが、『地球儀を俯瞰する戦略外交』なんて、すでに誇大妄想の狂人の領域だ」

と罵倒している。

   なお、「低能」「狂人」という言葉が一般紙に登場することはまずない。共同通信社の「記者ハンドブック」によると、「低能」は「差別語、不快用語」に指定されており、「知的障害、知的発達の遅れた子(人)」と言い換えるように推奨されている。「狂人」に至っては、漢字変換ソフト(ATOK)で一度に変換することすらできない。

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