2024年 4月 20日 (土)

山口組がネットでPR作戦、AFPも報じる ユーチューブに「社会貢献」「年末餅つき大会」動画

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   国内最大の指定暴力団山口組(神戸市)が、ネットを活用した広報活動に乗り出したようだと注目を集めている。山口組の関連団体がウェブサイトを開設し、動画で餅つき大会や炊き出しの様子を紹介、ソフトイメージの演出に努めている。2011年の暴力団排除条例施行で取り締まりが強化された上、一般市民による暴力団排除の機運も高まっている。異例の対外PRに乗り出すことで、この動きに少しでも歯止めをかけたい考えのようだ。

   これらの取り組みはAFP通信も報じたばかりで、世界的にも「ヤクザ」の動向が注目される可能性もある。

山菱の代紋と日の丸をバックに男性が笑顔で餅をつく

「麻薬追放国土浄化同盟」のウェブサイト。山口組の餅つき大会の動画などが見られる
「麻薬追放国土浄化同盟」のウェブサイト。山口組の餅つき大会の動画などが見られる

   ウェブサイトは、「麻薬追放国土浄化同盟」の名義で開設され、トップページには、「会員一同」による

「田岡親分の偉業と日本の国土から麻薬を撲滅すると言う強い信念を引き継ぐため、新しくホームページを立ち上げた次第であります」

といったあいさつ文が掲載されている。あいさつは13年7月25日付で、ウェブサイトも同時期に立ち上げられたとみられる。文中の「田岡親分」とは、山口組の故田岡一雄・三代目組長のことを指す。

   山口組は91年にも麻薬追放と称して「全国国土浄化同盟」を結成し、傘下団体から資金集めをしようとしたことがある。当時の新聞記事に「麻薬追放国土浄化同盟」について解説されている。

「昭和38年にも三代目田岡一雄組長が『全国麻薬追放国土浄化同盟』を結成し、右翼らを動員して大会を開くなど運動を繰り広げたこともあるが、翌39年に警察庁が第一次暴力団壊滅頂上作戦を始め、その後、運動は自然消滅している」(1991年12月17日、読売新聞)

   ウェブサイトの中身は、山口組そのものだ。たとえば、同盟の名義でユーチューブにアップロードされている動画のタイトルは、「山口組 餅つき」「六代目山口組 初詣」といったもの。

   「餅つき」の動画には、13年12月28日に神戸市灘区の総本部で開いた餅つき大会の様子を収録。山菱の代紋と日の丸をバックに、男性が笑顔でもちをついており、篠田建市(通称・司忍)組長やナンバー2の高山清司若頭らしき最高幹部の姿も確認できる。山口組の了承がなければ撮影できない映像だ。

   動画のBGMには演歌が流れており、歌詞は「菱の代紋 我らの命」「司忍は 我らの命」といった山口組をたたえる内容だ。12分ある動画のうち最後の4分は、この楽曲のカラオケが収録されている。

   「有志の会 ボランティア活動」と題した動画では、14年1月26日に大阪市西成区で行った炊き出しの様子を紹介。

「年配者はもとより、体の不自由な人や女性の姿もあり、みな一様に笑顔がこぼれていた。樽酒をはじめ、豚汁、焼きそば、おにぎり、フランクフルトなど、豊富なメニューを提供した」

といった字幕も入った。

   動画以外には、「阪神淡路大震災にてボランティア活動」「東日本大震災にてボランティア活動」といった写真集が掲載されており、総じて社会貢献活動をPRする内容になっている。

AFP「親切さ示して『反社会勢力』のイメージに対抗する狙い」

   警察庁の14年3月の発表によると、13年末時点での暴力団勢力(暴力団に所属する「構成員」と協力者にあたる「準構成員」の合計)の数は前年比7.3%減の約5万8600人で、92年の暴力団対策法の施行後初めて6万人を割り込んだ。山口組も同7.2%減の約2万5700人と、同様のペースで勢力が縮小している。

   山口組は13年7月には、38年ぶりに機関紙を復刊させたばかりだ。組織内広報で内部の引き締めを図る一方、対外広報も活発化させているようだ。

   このサイトの存在は、「暴力団」(新潮新書)などの著書があるノンフィクション作家の溝口敦さんが、2月25日付の日刊ゲンダイの連載で指摘。その中で、溝口さんは

「この程度のことで社会の山口組認識は変化しない。すでに山口組など暴力団は『必要悪』でさえなく、なくすべき無用の存在となった」

と批判している。AFP通信も4月2日に、「日本の暴力団がウェブ立ち上げる」と題し、長文記事で伝えたばかり。記事では、「専門家によると、構成員の隣人としての親切さを示すことで、警察がヤクザの婉曲表現として使う『反社会勢力』というイメージに対抗する狙いがある」と分析している。

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