『ワットさんのALS物語』出版 家族が支えた2200日の介護

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    筋肉が徐々に衰えていく難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の男性を英国で看取った家族の記録が出版され、2014年4月10日、東京で出版記念会が開かれた。

   『ワットさんのALS物語~ALS(筋萎縮性側索硬化症)の夫と歩んだ2200日』(ヴィゴラス・メド)の著者はワット隆子さん(74)。乳がん患者会「あけぼの会」の創立者会長として知られている。

何度も奇跡の復活

   隆子さんは広告会社の東京駐在員だったスコットランド出身のアンドリュー・ワットさんと結婚、一男一女をもうけた。乳がん手術の翌年の1978年に「あけぼの会」が発足してからは、その活動にのめり込んだ。

   アンドリューさんが英国で、治療法のない難病と診断されたのは2005年11月。隆子さんは東京、国連職員の長女はバンコク、長男はサンフランシスコと、ワット家は分散していた。当初はバンコクで介護するつもりが、「余命6か月」と聞いたことや本人の希望などからロンドンでの介護になった。

   驚くのは長男がスッパリ仕事をやめ、長女も長期休暇を取ってロンドンのマンションで家族中心の介護を始めたこと。アンドリューさんは車イス生活からやがて外出不能になり、言葉も失い、指1本も動かせなくなり、介護はどんどん大変になる。途中、何度も救急車で病院に運ばれては、奇跡の復活を果たした。

   長女が4年半で職場復帰するなど、態勢は少しずつ変わるが、ヘルパーやホスピス、ケアハウスの助けを借りて乗り切る。アンドリューさんが2012年1月、75歳で亡くなるまで介護は6年間も続いた。隆子さんはその間、25回も東京、ロンドンを往復し、随時「あけぼの会」のホームページで介護の様子を報告していたが、今回、1冊にまとまった。

   アンドリューさんは子どもたちに優しく、理想の父親だったというが、ワット家の家族のきずなに感動させられる。

(医療ジャーナリスト 田辺功)

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