2024年 4月 20日 (土)

世界遺産登録、富岡製糸場は「元祖ブラック企業」 ちきりん氏の指摘ははたして正しいのか

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官営当初は週休1日の約8時間労働

   「エリート」だったかどうかはともかく、実際の労働環境はどのようなものだったのだろうか。

 

   富岡製糸場は明治5年(1872年)に明治政府が設立した、初の官営器械製糸場だ。当時の日本にとって、絹の元となる「生糸」は最大の輸出品。西欧から最新技術を導入し、指導者育成に力を入れながら、品質改善と大量生産を実現させた。この製糸場を支えたのは「伝習工女」と呼ばれる、全国各地から集まった若い女性工員たちだ。

   職場環境もフランス式で整備されていたそうで、4月12日配信の朝日新聞デジタルの記事では、富岡製糸場総合研究センター学芸員の岡野雅枝さんが「官営期の前半に限れば、影響を与えたフランスよりも先進性がある近代的工場でした」とコメントしている。設立当初から日曜日は休みで、就業規則上の労働時間は、当時のフランスの12時間より短い1日7時間45分だったそうだ。

   また26日配信のMSN産経ニュースでは、設立当初の労働環境について「週休1日のほか夏冬に各10日間の休暇があり、食費や寮費などは製糸場が負担していた」と伝えている。これだけ見れば、明治期としては快適な労働環境といえそうだ。

   だが、1日約8時間という労働時間は長く続かなかったようで、岡野さんは官営期の後半には2時間ほど増えたと指摘している。また、21年後の明治26年(1893年)に民間に払い下げられると、労働環境は以前より厳しくなったようだ。

   日本の労働環境がおしなべて悪い時代だけに、現代の基準で「ブラック」と判断するのはどうなのか。ちきりんさんの発言には反論、疑問が出されている。社会学者の古市憲寿さんは「官営時代と払い下げ時代を分けて考えてないですね。批判されている方も、している方も」と指摘している。

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