朝日新聞、「吉田調書」記事を「取り消し」 木村社長「進退」に言及、時期は明示せず

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   朝日新聞社の木村伊量(ただかず)社長が2014年9月11日夜、東京・築地の同社東京本社で会見し、東京電力福島第一原発の吉田昌郎元所長=13年7月死去=へのヒヤリング結果をまとめた「吉田調書」をめぐる報道について、5月20日に1面トップで「所長命令に違反 原発撤退」と題して掲載した初報を取り消すことを明らかにした。

   9月12日付で杉浦信之・取締役編集担当の職を解き、木村氏については再生へのめどがつき次第「速やかに進退について決断する」とした。「進退の決断」が辞任を意味するかは明言しなかった。

他紙の「吉田調書」きっかけに検証始める

「吉田調書」をめぐって陳謝する朝日新聞社に木村伊量(ただかず)社長(左)と杉浦信之(右)取締役編集担当
「吉田調書」をめぐって陳謝する朝日新聞社木村伊量(ただかず)社長(左)と杉浦信之(右)取締役編集担当

   5月20日の記事では、

「東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた」

と報じていた。だが、後に産経新聞、読売新聞、共同通信なども吉田調書を入手。この3社は、「『伝言ゲーム』による指示で現場に混乱があったことを認めているだけで、部下が命令に違反したとの認識は持っていない」(読売新聞)などと朝日新聞の報道は事実と異なるとして批判を展開していた。

   これらの報道を踏まえて検証作業を進め、原発所員への直接取材が徹底しなかった結果、「命令があったことは事実」だとしながらも、「所員に指示がうまく伝わらないまま第二原発への待避が行われたということが把握できなかった」などと説明。

多くの東電社員がその場から逃げ出したかのような印象を与えた

記者の質問を聞く木村社長
記者の質問を聞く木村社長

   木村氏は、

「吉田調書を読み解く過程で、評価を誤り『命令違反で撤退』という表現を使った結果、多くの東電社員がその場から逃げ出したかのような印象を与え、間違った記事だと判断した」

   と説明した上で、

「『命令違反で撤退』の表現と取り消すとともに、読者、および東電の皆様に深くお詫び申し上げる」

と述べた。「命令違反で撤退」が記事の根幹部分をなすことから、記事そのものを取り消すという。ただし、「意図的なねじ曲げ」という指摘には繰り返し反論した。

   木村氏の進退については、

「朝日新聞に対する読者の信頼を大きく傷つけた危機だと重く受け止めており、私が先頭にたって、編集部門を中心とする抜本改革など、再生に向けておおよその道筋をつけ、すみやかに進退について決断する。その間は、社長報酬を全額返納する」

と述べた。「進退について決断」の意味を問われると、

「このとおりの文章で、今の段階で具体的に申し上げるのは避けるべき」

と述べるにとどめた。

   「吉田調書」問題について、朝日新聞は今後も経緯の調査を続けるとしており、取材・報道の問題点や記事がもたらした影響などについて、同社の第三者機関「報道と人権委員会」(PRC)に審理を申し立てたことを明らかにした。

慰安婦「吉田証言」訂正が遅れたことを陳謝

   木村氏は、済州島で若い女性が強制連行されたとする、いわゆる「吉田証言」についても陳謝した。朝日新聞は吉田証言について1982年に初めて報じ、14年8月5日の検証記事で同証言が「虚偽」だったと結論付けた。だが、この検証記事では関係者の処分や、社としての謝罪が含まれておらず、この32年間に吉田証言が原因で日本の国際的信用が低下したとして、朝日新聞に対して謝罪を求める声が相次いでいた。

   木村氏は、この点については

「事実に基づく報道を旨とするジャーナリズムとして、より謙虚であるべきだったと痛感している。吉田氏に関する誤った記事を掲載したこと、その訂正が遅きに失したことについて、読者の皆様にお詫び申し上げる」

と述べたが、検証記事の内容自体には「自信を持っている」と繰り返した。

木村社長「編集担当の判断に委ねた」

   慰安婦問題をめぐっては、池上彰さんの紙面批評コラムを1度は掲載を見合わせたことも問題になった。杉浦氏は、自らが掲載見合わせの判断をしたことを明かし、「結果として、それは間違っていた」と述べた。

   木村氏は、池上さんのコラムの内容について

「私は感想はもらしたが、編集担当の判断に委ねた」

と主張。池上氏とのやりとりの内容が外部に漏れて報じられ

「『言論の自由の封殺』という、思わぬ批判をいただいた」

とも述べた。杉浦氏が木村氏の意向を忖度した可能性については、木村氏が

「忖度したことはないと、私は認識している」

と主張。杉浦氏も同様に忖度を否定した。

   9月6日に市川速水・東京本社報道局長名義で掲載された記事では、経緯について

「本社には言論による批判や評価が寄せられる一方で、関係者への人権侵害や脅迫的な行為、営業妨害的な行為などが続いていました。こうした動きの激化を懸念するあまり、池上さんの原稿にも過剰に反応してしまいました」

と説明されているが、杉浦氏はそれ以上の具体的な説明は避けた。

   今後同社は、慰安婦報道については、「報道と人権委員会」とは別に社外の弁護士や歴史学者、ジャーナリストら有識者に依頼して第三者委員会を新たに立ち上げ、過去の記事の作成や訂正にいたる経緯、今回の特集紙面の妥当性、そして朝日新聞の慰安婦報道が日韓関係をはじめ国際社会に与えた影響などについて、徹底して検証するとしている。

   また、新しい編集担当を中心に「信頼回復と再生のための委員会」(仮称)を立ち上げ、取材・報道上で浮かび上がった問題点を点検、検証するとしている。

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