菅元首相、「最側近」からも見放される 東電の早朝演説は「史上最低」

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   東京電力福島第1原子力発電所の吉田昌郎元所長=2013年死去=に政府の事故調査委員会がヒヤリングした内容をまとめた「吉田調書」のハイライトのひとつが、吉田氏が菅直人首相(当時)を「あのおっさん」呼ばわりするなど、菅氏に不信感を募らせていたことだ。

   これは、菅氏が東京・内幸町の東電本店に乗り込んで怒鳴る様子を吉田氏もテレビ会議で見ていたことも大きな原因だ。菅氏のこの行動は、当時の「最側近」とも言える人物からも「史上最低の演説」だと批判されていた。この「史上最低の演説」発言は9月のテレビ番組でのものだが、政府事故調のヒヤリング記録も近く公表される予定で、その中にはさらに厳しい菅氏への批判が含まれている可能性もある。

吉田元所長「気分悪かったことだけ覚えています」

首相在任時の菅直人氏。最側近からも「史上最低の演説」だと非難された
首相在任時の菅直人氏。最側近からも「史上最低の演説」だと非難された

   菅氏は、東電が原発からの全面撤退を官邸に打診したことを伝えられ、激高(東電は「全面撤退」検討の事実を否定)。東電の清水正孝社長(当時)を官邸に呼んだ上で撤退は認められない旨を伝えたが、それでも収まらずに2011年3月15日の早朝5時半過ぎに東電本店に乗り込んだ。東電の大部屋で幹部を前に、菅氏は

「撤退したら東電は100%つぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ」

などと怒鳴ったという。この様子は、福島第1原発にもテレビ会議で中継されており、吉田氏も

「気分悪かったことだけ覚えています」
「場所変えろとか何かわめいていらっしゃるうちに、この事象(水素爆発)になってしまった」

などと不快感を持っていたことが「吉田調書」から明らかになっている。

   菅氏のこの発言は、「最側近」からも酷評されていた。この「最側近」とは、総理補佐官を務めていた寺田学元衆院議員。寺田氏は12年の衆院選で落選。13年3月の秋田市長選にも出馬したが現職に敗れ、浪人生活を続けていた。

   寺田氏は11月7日、次期衆院選で秋田1区から出馬することを記者会見を開いて表明している。この会見で、自らのヒヤリング記録が近く公表されることを明らかにした。

   寺田氏は、9月15日にBS日テレで放送された「深層NEWS」で、菅氏の演説を強く批判しており、ヒヤリングに対しても菅氏への不満や不信感を吐露しているとみられる。

   番組での寺田氏の説明によると、寺田氏は菅氏が東電に向かう車に同乗し、菅氏をなだめようと試みたという。

「世間の皆さんが思うよりも、比較的落ち着いてはいた。ただ、それこそ東電本店に行って統合本部をつくる段階なので、老婆心という言葉を使っていいか分からないが、支える側として、いろいろ落ち着いてお話しいただけるように車内で少し秘書官に代わってもらって私が乗ってお話しをした」

「率いる者としての演説ではまったくなかった」

   だが、この努力もむなしく、菅氏は東電で感情を爆発させる。この点を、寺田氏は不眠不休で対応にあたっている東電社員らに対して「失礼だと思う」として強く批判した。

「史上最低の演説だと思いました。それこそ、モニターを通じて現場の方も見られている。当時、菅総理は認識していないと思うが、それでも不眠不休でやられている東電と現場の方がいる中で、あのように怒りを込めた、感情的になられているとは思うが、あのような口調で、あのような『東電はつぶれるぞ』とか『死ぬ気でやれ』とか、元々やられている方に言うのは私は失礼だと思うし、その意味においては率いる者としての演説ではまったくなかった」

   寺田氏は出馬会見で、番組での発言について改めて見解を聞かれ、「反省すべきは反省すべき」などと菅氏に謙虚さを求めた。

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