2024年 4月 24日 (水)

主要紙社説で消費増税先送りを批判 でも「新聞には軽減税率を」の大合唱

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   2014年7~9月期の国内総生産(GDP)が、年率換算でマイナス1.6%と予想を大きく下回る結果となった。これで、2015年10月に予定されている消費税率10%への引き上げ延期と衆院解散・総選挙の可能性が高まった。

   主要紙は社説で、「消費増税を先送りしていいのか」と批判のトーンを強める。だが一方では「増税の際は新聞に軽減税率を適用すべき」との主張も忘れない。

日経新聞「ここで延期するリスクはあまりに大きい」

消費増税延期は疑問、でも新聞への課税は...
消費増税延期は疑問、でも新聞への課税は...
「一体改革を漂流させるな」

   朝日新聞の2014年11月16日付の社説は、こう題している。消費増税先送りについて「安倍政権がこうした方針を固め、民主党も認めた」とし、安倍晋三首相が「公式にひと言も発しないまま、重要な政策変更が固まる。もちろん、議論がないままに、である」と批判する。これまでの経緯を振り返り、今後も先送りを繰り返す疑念があるとして、「再増税の時期を明確に示す」「給付をまかなうために負担増が避けられないことを語らねばならない」と提言している。「経済の混乱時に増税を見送るのは当然」としつつも、「不人気政策を避ける方便に使われるあいまいな規定は百害あって一利なしだ」と、法律の景気条項削除を促している。

   11月12日付の日本経済新聞の社説は、「消費再増税をここで延期していいのか」とさらにストレートな見出しだ。同紙では「再増税を延期すれば、いずれ金融市場で日本の国債に対する信認が失われ、長期金利が意図しない形で急上昇するリスクがあると指摘してきた」と強調。こうなると年金や医療費の大幅削減を余儀なくされ、日本経済に破壊的な影響を与えるという。子育て支援などの財源も十分に用意できなくなる。「ここで延期するリスクはあまりに大きい」「この時点で再増税延期を決めるのはやはり望ましくないといわざるを得ない」と繰り返し指摘した。

   毎日新聞も11月14日付の社説で、「今の景気情勢で先送りするなら、次も先送りしないかとの疑念が湧く」「増税を先送りすると、国債の価格が暴落する心配がある」と日経新聞や朝日新聞と似た議論を展開した。

   3紙とも基本的には、増税延期に反対していると読み取れそうだ。「いま、考えるべきは、全ての世代にわたる助け合いのあり方だ」と、「給付と負担」について熟考するよう促す朝日新聞の主張もうなずける。ただ、国民誰もが「痛み」を覚悟しなければならない増税論議の脇で、11月15日付の日経新聞朝刊や朝日新聞朝刊にはこんな記事も載っていた。

「新聞の軽減税率適用を要請」

「新聞大会決議」3年連続で「新聞に軽減税率適用すべき」

   各紙の報道によると11月14日、菅義偉官房長官が、消費税率を10%に引き上げる際に新聞に対して軽減税率を適用するよう求める244万人分の署名を受け取ったという。署名は日本新聞販売協会が集め、菅長官は新聞への軽減税率適用について「欧州では税率ゼロのところもあり、十分理解している」と述べたという。

   新聞におけるこのような主張は、最近はじまったことではない。食料品や水、エネルギーと並んで新聞も「生活必需品」と位置付けているからだ。

   新聞業界では毎年10月15日から1週間、「新聞週間」を設けている。期間中には「新聞大会」が催され、決議が採択される。日本新聞協会のウェブサイトには、これまで決議された内容が公開されているが、過去3年連続で「新聞に軽減税率を」の訴えが明記されているのだ。

   2012年、東日本大震災からの復興は道半ばとしつつ、この年8月に成立した「社会保障・税一体改革関連法」に消費増税が盛り込まれたとして、「新聞を含む知識への課税強化は民主主義の維持・発展を損なうものであり、新聞には軽減税率を適用するよう強く求める」と主張した。欧州諸国の事例を「学ぶべき」と強い調子の文面だ。2013年は消費税率8%への引き上げが決まったことを受けて、「新聞については軽減税率を適用し、現行の税率を維持すべき」とまたも強調している。

   そして2014年は「新聞への軽減税率適用を求める特別決議」が出た。これまで同様、「今後の社会・文化の発展と読者の負担軽減のため、消費税に軽減税率を導入し、新聞の購読料に適用するよう求める」としている。

   社説では「消費増税先延ばし」を批判しつつ、新聞業界への税率は軽減してほしいという主張は、今回の「増税先送り批判」の局面でも変わらない。

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